著者
古川 裕佳
出版者
都留文科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本近代文学において、志賀直哉をはじめとする若い男性作家の作品に、家の女中と性的関係をもったことに苦悩する主人公像が描かれていることに注目し、罪意識と逸脱者意識の混交の果てに超越的な自己を見出そうとするような、共通した機構があることについて考察した。女中と関係してしまう「不良」のような、<家庭>イデオロギーからの逸脱者を描くことが、当時の文学にとって重要な課題であったことを明らかにし、家庭において家族と他人の中間的な存在であった「女中」の表象がどのように変容するのかを、当時の女中をめぐる言説および具体的な小説の表象に即して検討した。家庭にとっての異物であり、悪役とされる「妾」がお家騒動においてどのように機能したかを検討した。
著者
小松 史生子 坪井 秀人 古川 裕佳 山口 俊雄 一柳 廣孝 小泉 晋一 光石 亜由美
出版者
金城学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

1920~30年代の日本の言説状況において、<異常>という概念の知識が、好奇心と探求心をもって一般大衆に広まっていった経緯を、多様な一次資料の収集と復刻作業で確認することができた。論文の単行本化、通俗心理学雑誌の掘り起し、異常心理を扱った探偵小説同人誌の復刻などといった成果が得られた。また、学際的なシンポジウムも三回開催することができた。