著者
一柳 廣孝 栗田 英彦 菊地 暁 吉永 進一 石原 深予
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本心霊学会は、1910年前後から20年前後まで活動した、当時最大規模の霊術団体のひとつである。その日本心霊学会の機関誌である「日本心霊」のほぼ揃いが、同学会の後進にあたる京都人文書院で奇跡的に発見された。近代日本の精神史を探るうえでの一級資料である「日本心霊」について、本プロジェクトは全資料の裏打ち処理、脱酸素処理を施してPDF化を進めるとともに、二度にわたるワークショップで近代科学史、仏教史、近代出版文化史、日本近代文学などの多様な観点から分析を進め、それぞれの研究成果については書籍、論文、学会発表の形で公表した。
著者
一柳 廣孝 橋本 順光 金子 毅
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は4回の研究会をおこない、以下の方々の発表について検討した。志村三代子氏「戦後の『透明人間』-恐怖映画とジェンダーをめぐって」、鷲谷花氏「3DCGアニメーションにおける「不気味なもの」-または我々はいかに心配するのを止めてCGを愛する、ようになったか」、越野剛氏「ソ連におけるオカルト・超科学について」、濱野志保氏「写真と流体-ヨーロッパにおけるエネルギー写真と念写」。また、天理市に天宮清氏を訪ね、CBAに関するインタビューをおこなった。さらに雑誌「GORO」におけるオカルト関連記事のデータベースを作成した。今年度は本研究プロジェクトの完成年度にあたり、それまでの活動・研究報告の総括として「現代日本における「オカルト」の浸透と海外への伝播に関する文化研究研究成果報告書」をまとめた。研究会活動報告、本研究プロジェクトメンバーの研究成果などからなる「研究の概要」、「吉永進一氏インタビュー」、「新倉イワオ氏インタビュー」、「天宮清氏インタビュー」、「雑誌「GORO」オカルト関連記事一覧」が、その内容である。吉永氏の記事からは60~70年代におけるオカルト研究史、新倉氏からはテレビメディアにおける心霊シーンの変遷、天宮氏からは、日本におけるUFO研究の変遷とサブカルチャーへの影響関係など、きわめて貴重なお話をうかがうことができ、価値ある研究成果報告書になったと自負している。
著者
一柳 廣孝
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.30-38, 2001-11-10

「週刊少年マガジン」に連載されたつのだじろう「うしろの百太郎」は、心霊学にもとづいて心霊の知識を教授する場として機能し、七〇年代以降のオカルト・ブームに大きな影響を与えた。本稿では主として「うしろの百太郎」連載時に反響を呼んだ「コックリさん」、超能力をめぐる動的な様態に注目し、この特異な場に働いたさまざまな「力」の諸相について、いささかの考察を試みた。
著者
一柳 廣孝
出版者
物語研究会
雑誌
物語研究 (ISSN:13481622)
巻号頁・発行日
no.9, pp.12-19, 2009-03-31

In contemplating over how the recently established vindictive impression of "yuurei" (ghost) has changed during post-modern times, we shall attempt to heed to the notion of "shinrei" (spirit) as a medium. "Shinrei" was started to be applied in the context of spiritualism which was tinged by psychological and religious traces of the New Age during the "hanmon no jidai" (years of anguish/agony) in the mid thirty years of the Meiji Period. In respect of "reikon" (soul spirit) and "tamashii" (soul) that are deeply intertwined with the religious beliefs of the previous era, "shinrei"? was accepted as a new concept that wiped out earlier (former) images, in addition to being regarded as a key item concerning the debate over the actual existence of a "shinrei" from a scientific perspective. Thus, "shinrei" became the newly defined term in modern place. The main discourse in this study reflects over the expressions "shinrei" and "yuurei", especially employed from the late-Meiji era to the beginning of the Taisho period.
著者
一柳 廣孝
出版者
物語研究会
雑誌
物語研究 (ISSN:13481622)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.12-19, 2009-03-31 (Released:2018-03-27)
被引用文献数
1

In contemplating over how the recently established vindictive impression of "yuurei" (ghost) has changed during post-modern times, we shall attempt to heed to the notion of "shinrei" (spirit) as a medium. "Shinrei" was started to be applied in the context of spiritualism which was tinged by psychological and religious traces of the New Age during the "hanmon no jidai" (years of anguish/agony) in the mid thirty years of the Meiji Period. In respect of "reikon" (soul spirit) and "tamashii" (soul) that are deeply intertwined with the religious beliefs of the previous era, "shinrei"? was accepted as a new concept that wiped out earlier (former) images, in addition to being regarded as a key item concerning the debate over the actual existence of a "shinrei" from a scientific perspective. Thus, "shinrei" became the newly defined term in modern place. The main discourse in this study reflects over the expressions "shinrei" and "yuurei", especially employed from the late-Meiji era to the beginning of the Taisho period.
著者
小松 史生子 坪井 秀人 古川 裕佳 山口 俊雄 一柳 廣孝 小泉 晋一 光石 亜由美
出版者
金城学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

1920~30年代の日本の言説状況において、<異常>という概念の知識が、好奇心と探求心をもって一般大衆に広まっていった経緯を、多様な一次資料の収集と復刻作業で確認することができた。論文の単行本化、通俗心理学雑誌の掘り起し、異常心理を扱った探偵小説同人誌の復刻などといった成果が得られた。また、学際的なシンポジウムも三回開催することができた。
著者
一柳 廣孝
出版者
明治書院
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.3-15, 2017-02
著者
吉田 司雄 林 真理 一柳 廣孝
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、科学言説と文学言説を中心とする他の言説群との相互関連性を問題とし、文学研究の内側に止まるのではなく、科学史・科学思想の領域の研究者と共同して情報データベースを作成し、脱領域的なレベルでの積極的な議論を行える場所をつくることを通して、文化研究の新たな地平をひらこうとするものであった。研究期間中には特に近代日本の「動物学雑誌」等の学術雑誌、啓蒙的な大衆科学雑誌、少年向け雑誌、1970年代の各種メディアにおけるオカルト(疑似科学)に関する言説等を調査し、科学言説の非専門家層への伝播とその過程での変容や屈折を分析した。また、年1回ペースで公開研究会を開催し、脱領域的な研究ネットワークを構築することを目指した。第1回(2005年2月11日)は奈良崎英穂氏、松永俊男氏、第2回(2006年2月19日)は溝口元氏、曾根博義氏、第3回(2006年12月16日)は安齊順子氏、竹内瑞穂氏、小倉めぐみ氏、井山弘幸氏、第4回(2007年12月9日)は下坂英氏、伊藤龍平氏に報告をお願いし、コメンテーターを始め多くの参加者を交えて活発な議論を戦わせた。近代日本の文学言説がいかに様々な科学言説と交差することで生成展開していったか、その全貌を明らかにすることは研究期間内にはとても叶わなかったが、従来の文学史・科学史・文化史の枠組に囚われない新たな史的叙述の可能性を確信し、これまで学問的に注目されることの乏しかった分野の資料を博捜することで多くの知見を得ることができた。
著者
一柳 廣孝
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国大国語研究 (ISSN:02881489)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-13, 2013-03