著者
古川 貴大 松井 尚子 田中 恵子 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000924, (Released:2017-01-28)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

症例は33歳女性.耳下腺炎後に情動失禁や運動性失語,両側の側方注視麻痺,痙縮がみられ,MRIで中脳大脳脚から内包後脚,中小脳脚,前頭葉皮質下の白質に異常信号を認めた.以前から眼や口腔の乾燥感があり,入院後にシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)の合併が判明し,抗アクアポリン4抗体が陽性であった.ステロイドパルス後の単純血漿交換療法が著効した.ステロイド減量中に大脳に再発を来したが,免疫抑制剤導入後は再発なく経過した.本症例は耳下腺炎を契機に発症しており,唾液腺炎が視神経脊髄炎関連疾患の病態に関与している可能性が示された.
著者
山本 雄貴 垂髪 祐樹 山崎 博輝 武内 俊明 古川 貴大 宮崎 由道 山本 伸昭 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10397, (Released:2016-03-09)
参考文献数
15

症例は40 歳主婦.過多月経による重度の慢性貧血(ヘモグロビン1.1 g/dl)があり,合計20単位の赤血球輸血を受けた.2 週間後に突然の頭痛と全身痙攣を来し搬送された.MRI 所見からPRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)を合併したRCVS(reversible cerebral vasoconstriction syndrome)と診断し,保存的治療を行った.経過中に一旦は軽快していた症状および画像所見の再増悪がみられたが,最終的には後遺症を残さずに退院した.慢性貧血患者に輸血を行う際には,合併症としてRCVS やPRES を発症しうることに留意し,頭痛や他の神経症状の出現時にはすみやかにMRI などの検査を行う必要がある.