著者
山本 雄貴 垂髪 祐樹 山崎 博輝 武内 俊明 古川 貴大 宮崎 由道 山本 伸昭 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10397, (Released:2016-03-09)
参考文献数
15

症例は40 歳主婦.過多月経による重度の慢性貧血(ヘモグロビン1.1 g/dl)があり,合計20単位の赤血球輸血を受けた.2 週間後に突然の頭痛と全身痙攣を来し搬送された.MRI 所見からPRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)を合併したRCVS(reversible cerebral vasoconstriction syndrome)と診断し,保存的治療を行った.経過中に一旦は軽快していた症状および画像所見の再増悪がみられたが,最終的には後遺症を残さずに退院した.慢性貧血患者に輸血を行う際には,合併症としてRCVS やPRES を発症しうることに留意し,頭痛や他の神経症状の出現時にはすみやかにMRI などの検査を行う必要がある.
著者
垂髪 祐樹 佐藤 健太
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.178-181, 2018 (Released:2018-03-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は32歳男性.16歳から数秒持続する左眼窩部から側頭部に刺し込むような軽度の痛みが間欠的に生じる一次性穿刺様頭痛の既往があった.32歳時,ムンプス髄膜炎に罹患し入院した.入院2日目に充血,流涙を伴う刺し込まれる耐えがたい痛みが左眼窩部から側頭部にかけて出現した.痛みの持続時間は数秒程度で,間欠期も数秒から1分程度と短かった.三叉神経・自律神経性頭痛を疑いnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs),酸素投与,スマトリプタンと投与したが改善なく,リドカイン点滴持続静注を開始後にすみやかに改善したため,short lasting unilateral neuroralgiform headache attack with conjunctival injection and tearing(SUNCT)と診断した.一次穿刺様頭痛を既往に持つ患者がムンプス髄膜炎を契機にSUNCTに罹患した貴重な症例である.