著者
鈴木 修司 近藤 浩史 古川 顕 河井 健太郎 山本 雅一 平田 公一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.177-185, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
62
被引用文献数
2

非閉塞性腸管虚血(NOMI)は,腸間膜血管に器質的閉塞が存在しないにもかかわらず,腸間膜虚血や腸管壊死を呈する疾患である。1974年Siegelmanらによる血管造影を用いた診断基準がgold standardであったが,最近のmultidetector-row computed tomographyの普及や超音波検査の進歩により腸管虚血を客観的に評価しうる検査法の精度が向上してきたため,新診断基準の確立が望まれている。NOMIは早期に特異的な症候はなく,重症化して診断されるため,一般に予後不良である。NOMIと診断されれば,腹膜刺激症状がない場合は血管拡張薬血管内投与の適応となるが,腹膜刺激症状をきたし,腸管壊死が疑われる場合には外科手術が必要であり,NOMIの診断の標準化と治療の新たなアルゴリズムの構築が望まれる。
著者
古川 顕 Akira Furukawa
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 = Konan economic papers (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3・4, pp.21-57, 2019-03-30

貨幣の起源にはさまざまな考え方があるが, 最も重要で意味のある貨幣起源説は「原始貨幣」に由来するものであると考えられる。地域, 時代, 民族などによって異なる多彩な原始貨幣が存在し, それが貨幣生成の起源をなしたのではあるまいか。一方, 貨幣の未来について予想される有力な考え方として, キャッシュレス化の進展およびそれと密接な関係にある仮想通貨の普及がある。ただし, 筆者は仮想通貨の将来については否定的である。貨幣が貨幣たるゆえんは, その価値が安定していることであり, 貨幣価値が不安定化すると中央銀行や政府のコントロールによってそれを安定化させることが不可欠である。そうした観点からすると, 中央銀行や政府のコントロールが働かず, 投機の対象となりがちな仮想通貨は「通貨」とはなりえない。仮想通貨はニューマネーではなく, あくまでも“仮想”の通貨であり, 決して現金や預金などのリアル・マネーとはなりえない。
著者
古川 顕 Akira Furukawa
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 = Konan economic papers (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3・4, pp.45-91, 2020-03-20

古代中国, なかでも春秋戦国時代は, 中国の長い歴史の中でも注目すべき激動の時代であった。春秋戦国時代の大きな特色の一つは, 従来の青銅器製造技術が高度に発達して鉄製農具が出現し, 牛を使って畑を耕す牛耕農業が出現したことである。牛耕農業の出現・普及は華北の農業生産力を飛躍的に発展させ, その農業生産力の発展を土台にして商取引の発展を促した。商取引の発展は, 商取引を円滑にする度量衡, 貨幣, 文字の全国的な統一をもたらした。古代中国の貨幣の起源を考察・検討するときにしばしば 着するのは貝殻, とりわけ子安貝である。子安貝は古来より世界的に注目されてきた貝殻であるが, なかでも古代中国の殷・周時代や春秋戦国時代などに貨幣として使用されたとされている。子安貝は, いわゆる貝貨の典型的な事例である。そうした古代中国の貨幣の発展を対象として,「近代考古学の父」と称される浜田耕作の, 古代中国の貨幣の起源を子安貝に求める独創的な考え方がある。
著者
古川 顕
出版者
京都大学経済学会
雑誌
経済論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.179, no.2, pp.85-101, 2007-02
著者
古川 顕 Akira Furukawa
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.45-82, 2019-09

19世紀前半のイギリスにおける通貨学派と銀行学派の論争, いわゆる「通貨論争」は, 貨幣・信用理論史における最大の論争の一つである。通貨学派(ないし通貨主義) は, 通貨の増加は, 他の事情が一定であれば, 物価の上昇をもたらし, その減少は物価の下落をもたらすという伝統的な貨幣数量説に立脚する。これに対して銀行学派(あるいは銀行主義) は, 通貨学派の見解とは逆に, 物価の騰貴あるいは下落が貨幣数量に影響を及ぼすとみなし,実証的な歴史研究に基づくものであると主張する。この銀行学派の主張を代表するのがトーマス・トゥーク(Thomas Tooke) である。トゥークによれば, 物価の騰落は, 銀行券の流通高の変化に先行し, 銀行券流通高は「物価の騰落」ないし「取引の必要」によって決定される。トゥークは, 母国イギリスを対象とする精緻な実証分析によってこの推論を裏付けるのである。
著者
健山智子 小原伸哉 田中泰史 桶川萌 古川顕 金崎周造 若宮誠 韓先花 陳延偉
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.255-262, 2011-07-20

統計形状モデルは医用画像データから統計解析に基づいて人体臓器の個体間における大きさ,形状のバリエーションを記述したものであり, 計算解剖学や術前計画など多くの医療分野において幅広く利用されている.一方,統計形状モデルを構築する場合,各症例間における表面点の対応付けを行うためには複雑でかつ膨大な計算を要するだけでなく,統計形状モデル構築の際に用いられる学習用症例数が限られているため,症例数に対し形状特徴ベクトルは膨大な次元を要してしまう.そのため,少数症例からでも汎化能力の高いモデルを構築するためには臓器の形状情報を効率的に取り扱う必要がある.本研究では新たな統計形状モデル作成法として, 人体臓器の3次元形状を球座標により形状間における表面点対応を回転のみで行い,得られた形状表現を球面調和関数に展開することで形状情報ベクトルの次元を抑えることが可能な統計形状モデルの構築法を提案する. 提案法は球面調和関数に展開された係数により3次元形状情報を効率的に扱えることから,サンプル数に依存することなく高い汎化能力を持つ統計形状モデルの構築が行われ,そのモデルは未知のデータに対しても高い再現率で再構成が行えることを示す.
著者
古川 顕
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.29-57, 2012-01