著者
古桧山 建吾 京極 真 織田 靖史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.180-189, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

本研究の目的は,信念対立を経験したリハビリテーション専門職がマインドフルネストレーニングを実践することでたどる主観的体験の変化と,リハビリテーション専門職の信念対立に対してマインドフルネストレーニングがどのような影響を与えるかを明らかにすることである.対象者は,8週間のマインドフルネストレーニングを実践した.質的研究で対象者の主観的体験の変化,量的研究でマインドフルネストレーニングの効果を検証した.結果,対象者の信念対立の心理的側面は改善するが,信念対立そのものは改善しなかった.以上から,信念対立の問題には,マインドフルネストレーニングと信念対立解明アプローチを併せて対応する必要があると考える.
著者
長谷部 将大 古桧山 建吾
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.351-358, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
13

今回,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)に入院した3事例に対して,「作業機能障害の種類と評価(以下,CAOD)」を用いて,作業機能障害の重症度に着目した価値のある作業に根ざした実践を行った.3事例は異なる経過を辿るも,3事例とも作業機能障害の重症度は改善を示した.そして,その経過を比較検討した結果,作業機能障害の重症度は事例の作業環境や作業の特性によって変動しやすく,対象者に作業を提供する際にはそれらを考慮することが重要になると考えられた.また,回復期病棟の対象者に対して,CAODによって作業機能障害の重症度を測定し,それを活用することは,多職種連携を促進する要因になる可能性があった.
著者
酒井 四季子 古桧山 建吾 長谷部 将大
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.670-677, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
12

今回,回復期リハビリテーション病棟に入院した超高齢の2事例へ,CAODを用いた作業機能障害の改善を目指した作業に根ざした実践を行った.2事例は整形疾患を受傷し,ADLに介助が必要な状態であった.認知機能が良好なA氏は目標共有がしやすかった.一方,認知機能の低下を認めたB氏はA氏より作業の意味に気づきにくく,作業機能障害の改善にも時間を要した.視覚的な情報を用いて作業の再認識をすることで,A氏と同様に作業機能障害の改善を認めた.CAODを用いた作業機能障害の改善を目指した介入は対象者の作業の問題を捉えやすくし,超高齢事例の作業療法を展開するうえで有用な視点の一つになると考えられる.
著者
北村 弘幸 高井 美帆子 舟木 一夫 岡村 秀人 西嶋 力 古桧山 建吾 梶藤 いづみ 佐野 和幸 阿部 忍 森 範子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.G-142_1-G-142_1, 2019

<p>【目的】医療の高度化と地域包括ケアシステムの構築に対応するために、保健医療福祉サービスに関わる職種と協働する機会が増えている。多職種が連携するにあたり情報の共有が必要不可欠である。本調査は、多職種間の連携実態を把握するために、リハ職の栄養職間との相談意識とその実態を調査した。調査目的は良好な連携を目指すため、栄養に関するリハ職と栄養職の連携実態をリハ職種間で比較し、その課題を明確にすることにある。</p><p>【方法】対象はPT230名、OT91名、ST27名、計308名で、所属機関は病院勤務232名、施設勤務36名、在宅系勤務40名であった。方法はアンケート調査としてWeb net調査にて実施した。調査期間は2017年10~12月、回収率(会員数対)は15%であった。設問1は「日ごろの活動で管理栄養士・栄養士(栄養職)に相談したいと思ったことがあるか」に対し「よくある」「たまにある」「ない」で回答した(相談期待意識)。設問2は「身近に協働できる栄養職はいますか?」に対し「たくさんいる」「少しいる」「いない」の3件法で回答を得た(協働の実態)。回答を「たくさんいる」「少しいる」を合わせて「いる」と判定した(協働の有無)。リハ職の所属により連携実態(連携率)を比較し、統計学的解析はχ<sup>2</sup>検定を使用し有意水準5%未満とした。</p><p>【結果】相談期待意識について、病院勤務では「よくある」31%、「たまにある」56%、「ない」13%、施設勤務では31%、64%、6%、在宅系勤務では35%、55%、10%であった。所属施設による差異はなかった。協働の実態について所属別に比較すると、病院勤務では「たくさんいる」13%、「少しいる」69%、「いない」18%であった。施設勤務は14%、78%、8%、在宅系勤務は3%、43%、55%であった。病院勤務と施設勤務では「少しいる」が最も多く、在宅系勤務では「いない」が最も多かった。協働の有無について所属別に比較すると、病院勤務では「いる」82%、「いない」18%であった。施設勤務は92%、8%、在宅系勤務では45%、55%であった。病院勤務82%と施設勤務92%は有意差なく高値であった。在宅系勤務では相談できる栄養職がいる45%で、施設勤務より47ポイント、病院勤務より37ポイント有意(p<0.01)に低値であった。</p><p>【結論】リハ職の約9割が栄養職と「相談したい」と思っており、その程度は所属施設による差異がなかった。しかし、病院や施設勤務のリハ職は、栄養に関して相談できる栄養職がいるが、在宅系勤務では、相談意識が高値にも拘らず身近に相談できる栄養職の不在が大きな問題であることが解った。在宅では対象者個人の食事環境により栄養状態は左右される。病院や施設のような専門的管理が困難な生活場面であるため相談が必要と考える。本県では、県内5圏域に栄養士会が主催する「栄養ケア・ステーション」が設置され、個人の栄養指導や特定栄養食事指導、料理教室案内が運営されていることを紹介し、利用の認知度を向上させる必要があると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】調査研究にあたり、「リハビリテーションにおける多職種連携調査研究事業」の一環であること、調査の目的と趣旨を書面に記した。加えて調査結果は本事業開催研修会ならびに報告書として公表することを文書で説明した。アンケートの回答は統計学的に処理し、集団として取り扱うため個人が識別されないこと、回答情報が特定できないよう十分配慮した。</p>