- 著者
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大澤 義明
古藤 浩
栗田 治
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
主たる研究成果は以下の5点からなる.1)原風景の要素であるスカイライン景観と校歌との関係を考察した.平面上眺望点から,山頂仰角を算出し,最も大きな仰角となる山頂に関して領域分割を理論的に求めた.一方で,関東地方公立高校897校の歌詞を調査し,歌われている山を抽出した.そして,領域分割と校歌分布とが8割程度合致することを実証した.2)面的に広がる夜景景観の数理評価モデルを構築した.夜景規模を測る尺度として立体角を導入し函館市街拡大が函館山夜景や裏夜景にどの程度寄与しているのかを時系列(1975年から2000年まで5年間隔6時点)比較することにより定量的に明らかにした.質を求める指標として道路可視率を導入し,函館では度重なる大火の影響で道路幅員が広り防火遮断帯を配置し,結果としてメリハリのある夜景となったことを数値的に検証した.3)季節前線は日本の景観の大きな構成要素である.その一つとして桜前線を取り上げ,モデルや現実データから桜前線近接性時空表示方法を提案したり,日本の中で桜前線を早くかつ長く楽しめるパレート最適場所を求めたりした.また,これらの多項式計算アルゴリズムを提示した.4)斜線規制に換わる代替規制として2003年1月に建築基準法に導入された天空率規制の問題点を解析的に明らかにした.円環敷地や直線敷地に直方体建物建設という単純な数理モデルを通して,天空率規制導入は,高層建物の許容,共同立替を非促進,建築形態への影響から見て斜線制限の代替指標としての不自然さを数学的に証明した.このようにして,規制導入が町並み景観,都市内のスカイラインへ強く影響することを指摘した.