著者
古賀 明洋 新野 靖
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.24-29, 2004 (Released:2013-02-19)
参考文献数
7

食用塩中に低含有量で含まれるヘキサシアノ鉄 (II) 酸イオン (フェロシアン化物イオン) の分析精度を向上させることを目的に, 硫酸鉄 (II) 溶液を加えて生成したプルシアンブルーをメンブレンフィルター (ボアサイズ0.45μm, φ25mm) でろ過・分離を行い, 蛍光X線によりFe強度を測定する方法及びフィルターごと溶解して吸光度を測定する方法の適用性を検討した.その結果, 塩化ナトリウム存在下では水溶性プルシアンブルーが生成し, ろ過フィルターの水洗浄時にプルシアンブルーが溶出して回収率が低下する現象が生じた.しかし, 硫酸鉄 (II) 溶液に塩化鉄 (III) 溶液を加えて反応させることにより, 水溶性プルシアンブルーを生成させずに濃縮分離を行い, 上記の二方法で測定することが可能となった.蛍光X線法, 吸光光度法によりそれぞれの検量線を作成した結果, 共に塩化ナトリウム濃度の影響はなく, R2が0.99以上と良好な直線関係が得られ, 本法を用いることにより, 従来法で1mg/kgであった測定下限を0.1 mg/kgまで下げることができた.