著者
芳賀 麻衣子 西村 ひとみ 関 洋子 新野 靖
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.133, 2004

【まえがき】 にがりは、最近の健康ブームで販売量を伸ばしており、豆腐製造のみならず、炊飯、調理にも用いられ、希釈されたものは飲料として販売されている。にがりは製塩において塩を採り切った残りの液であり、MgやNaなどの塩化物を主とした高塩分濃度溶液であるが、その品質規格はなく、成分表示がされていないものも多く、品質の実態は明らかでない。そこで、市販のにがり商品を収集して品質の実態調査を行った。<br>【試験方法】 にがり13点について、主成分(Cl,SO<sub>4</sub>,Ca,Mg,K)を「塩試験方法」((財)塩事業センター)により定量した。微量成分はPO<sub>4</sub>,As,Co,Cd,Cu,Hg,Mn,Mo,Ni,Pb,Ti,V,Znを対象とし、PO<sub>4</sub>はモリブデンブルー法、As,Hgは水素化物/ICP-AES法、その他の金属元素はキレートディスク濃縮/ICP-AES法で定量した。<br>【結果】にがりには、海水をそのまま濃縮したにがりと海水をイオン交換膜で濃縮したにがりがあるが、両者の間にはCa濃度に大きな差があり、後者のにがり商品に高濃度で含まれていた。各商品の全塩分濃度は26.7%から32.3%と大きな差はないが、その中のMg濃度は1.0%から5.0%、NaCl濃度は2.4%から21.9%と商品によって濃縮度がまちまちであり、同量使用した場合、調理品の仕上がりや味覚などへの影響が考えられた。微量成分では、Zn,Cu,Ni,Fe,およびMnを多く含む商品もあったが、海水からにがりへの濃縮倍率から、海水溶存成分以外が混入していると考えられた。その他、Moが海水の濃縮度に比例して含まれていた。また、海洋深層水利用商品について、その他の商品との品質差は見られなかった。
著者
古賀 明洋 新野 靖
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.24-29, 2004 (Released:2013-02-19)
参考文献数
7

食用塩中に低含有量で含まれるヘキサシアノ鉄 (II) 酸イオン (フェロシアン化物イオン) の分析精度を向上させることを目的に, 硫酸鉄 (II) 溶液を加えて生成したプルシアンブルーをメンブレンフィルター (ボアサイズ0.45μm, φ25mm) でろ過・分離を行い, 蛍光X線によりFe強度を測定する方法及びフィルターごと溶解して吸光度を測定する方法の適用性を検討した.その結果, 塩化ナトリウム存在下では水溶性プルシアンブルーが生成し, ろ過フィルターの水洗浄時にプルシアンブルーが溶出して回収率が低下する現象が生じた.しかし, 硫酸鉄 (II) 溶液に塩化鉄 (III) 溶液を加えて反応させることにより, 水溶性プルシアンブルーを生成させずに濃縮分離を行い, 上記の二方法で測定することが可能となった.蛍光X線法, 吸光光度法によりそれぞれの検量線を作成した結果, 共に塩化ナトリウム濃度の影響はなく, R2が0.99以上と良好な直線関係が得られ, 本法を用いることにより, 従来法で1mg/kgであった測定下限を0.1 mg/kgまで下げることができた.