著者
寺澤 洋子 古賀 貴子 齋藤 昌義
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.599-604, 2014 (Released:2015-03-26)

牛挽肉の直火焼き(素焼きおよび照り焼き,焼き時間はともに12分間および24分間)における有効性リジン量の変化を知る目的で,小形のミンチボール状のものを試料とした。これら試料について,主に加熱,しょう油-みりんの混合液によるアミノカルボニル反応(褐変)の影響を検討した。(1) 水分量は,素焼きおよび照り焼きともに有意に減少したが,その減少率は素焼きの方で高かった。(2) 照り焼きに関し,窒素量の変化は認められなかった。(3) 色調L*は,素焼きおよび照り焼きともに加熱により低下し,色差ΔE*は照り焼きの方でより顕著であった。(4) 有効性リジンの減少率は,素焼きにおける12分間および24分間加熱した試料に比較し,照り焼きで加熱した試料ではそれぞれ2倍の高値であった。水分量および色調L*は有効性リジン量の減少率に高い正の相関を示した。直火焼きにおける水分減少(加熱)に伴いアミノカルボニル反応が進み,L*は低下し,有効性リジン量は減少するものと考えられた。(5) 酸化度 TBA値は,照り焼きよりも素焼きの方で高かった。また,COVは,素焼きにおいて焼き時間に伴って有意に減少した。
著者
古賀 〓子 古賀 貴子 杵川 洋一 北畠 直文
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.154-164, 2001-05-20

改質乳清タンパク質(乳清タンパク質を脱塩した状態において,タンパク質濃度9%および90℃,30分間余熱したもの)で調製した熱安定乳化物の流動特性および官能特性を市販クリームと比較検討した。改質乳性タンパク質および食用油で調製した乳化物は熱安定性が高かった。改質乳性タンパク質およびオリーブ油の割合が1.0 : 0.35で調製した乳化物は対照の市販クリームと近い特性を示した。これは改質乳性タンパク質で調製した乳化物を新しいタイプのクリーム代替品として用いることができるということを示唆している。牛乳と市販クリームを改質乳清タンパク質とオリーブ油で調製した乳化物を置き換えた場合,牛乳および市販クリームで普通に調製したパンナコッタと同様の特性のパンナコッタが得られた。