3 0 0 0 OA 泡沫の物性

著者
北畠 直文 土井 悦四郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.549-557, 1987-08-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
30
被引用文献数
6 4
著者
小川 眞紀子 山本 いず美 北畠 直文 早川 茂
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.144, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】希少糖D-プシコース(以下Psi)は、エネルギー値がほぼゼロのノンカロリー単糖で、保水性が高く、メイラード反応が進みやすいことから、食品素材として特にベーカリー食品への利用が期待されている。本研究では、ハードタイプのクッキーであるショートブレッド(以下SB)とソフトタイプのクッキーであるソフトクッキー(以下SC)にPsiが適しているか否かを、ショ糖とPsiとの配合割合を換え、物性測定と官能評価により検討することを目的とした。【方法】ショ糖のみをコントロール(C)とし、ショ糖に置き換えてPsiを10%(P10)、20%(P20)、30%(P30)に配合した4種類のSB及びSCを作製し、物性測定と官能評価を行った。物性測定は、高さ測定および破断強度を測定した。官能評価は、軟らかさ、しっとり感など10の評価項目についてSD法で官能評価を行った。【結果】SB、SCともに焼き色は、C、P10、P20、P30の順に濃くなった。高さは、SBはC、P10、P20、P30の順に、SCではC、P10、P30、P20、の順に高くなった。破断強度測定から、SBはPsiの割合が多いほど破断変形は有意に高くなり、破断応力は有意に低く、破断歪率は有意に高くなった。SBは、Psiの割合が多いほど脆くて軟らかい特徴がSCよりも顕著であった。官能評価の結果から、テクスチャーはC、P10、P20、P30の順に軟らかいと感じた人が多かった。総合評価では、いずれもCよりもP10とP20で高い評価となった。今回の結果から、ショ糖の1~2割程度をPsiに置き換えることで、物性的にも嗜好的にも好ましいクッキー様焼菓子を作ることが可能であることが示唆された。
著者
北畠 直文
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでの研究において,茶の渋味については、茶抽出液ならびにタンニン酸とヒト耳下腺から採取した唾液について、その沈殿形成と渋 味発現の関係、ならびに沈殿形成にかかわる唾液中のタンパク質の同定等について検討、渋味抑制方法の開発等の研究を行ってきた。さらに、茶の成分であるカテキン類を用いて、カテキンと唾液たんぱく質との相互作用を調べた。また、先の研究においてゼラチンが唾液たんぱく質と渋味成分であるタンニン酸との相互作用を阻害し、結果として渋味の発現を抑 制することを見出していたが、用いるゼラチン素材の種類によって差異があり、抑制効果とゼラチン分子との関連について検討を進めた。続いて、タンニン酸以外の渋味成分について検討を進めた。ヒト耳下腺唾液、顎下・舌下腺唾液を別々に採取し, それぞれについて渋味を呈する①タンニン酸,②ミョウバン,③塩酸を用いて,唾液と混合した場合の沈殿の生成について検討した。 ①のタンニン酸については、耳下腺唾液と顎下・舌下腺唾液では沈殿形成に顕著な差異が見いだされ、反応する唾液成分が異なり、またその挙動(沈殿形成時間や混合比)にも違いを認めた。当該年度においては、上記の①タンニン酸,②ミョウバン,③塩酸の渋味についてさらに検討を加え、あわせてこれまでに顎下腺唾液に含まれるたんぱく質が渋味発現に重大な役割をもっていることを示唆する結果を得ていたので、これについてさらに検討を進めた。しかしながら、大学の管理運営業務等のため研究は遅れ、研究論文作成も遅延している。よって、これらを完遂すべく、昨年度末に期間延長を申請し、承認を受けたところである。
著者
古賀 〓子 古賀 貴子 杵川 洋一 北畠 直文
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.154-164, 2001-05-20

改質乳清タンパク質(乳清タンパク質を脱塩した状態において,タンパク質濃度9%および90℃,30分間余熱したもの)で調製した熱安定乳化物の流動特性および官能特性を市販クリームと比較検討した。改質乳性タンパク質および食用油で調製した乳化物は熱安定性が高かった。改質乳性タンパク質およびオリーブ油の割合が1.0 : 0.35で調製した乳化物は対照の市販クリームと近い特性を示した。これは改質乳性タンパク質で調製した乳化物を新しいタイプのクリーム代替品として用いることができるということを示唆している。牛乳と市販クリームを改質乳清タンパク質とオリーブ油で調製した乳化物を置き換えた場合,牛乳および市販クリームで普通に調製したパンナコッタと同様の特性のパンナコッタが得られた。
著者
土井 悦四郎 北畠 直文
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

食品素材並びに製造食品の長期保存の観点から, 凍結保存の必要性が高まり, 冷凍食品は増加する傾向にある. これに対し冷凍保存中における品質劣化の原因は複雑であり, その機構に関する基礎的な研究は極めて少ない.本研究においては, 我々の最近の研究成果に基いて, 蛋白質の凍結変性が界面変性の一種であると言うモデルを設定し, その機構を明らかにし同時に新しい凍結変性の防止法を見出すことを目的とした.1)卵白アルブミンを材料とし, その溶解度の変化(濁度の変化)を指標として凍結変性を検討した. その結果凍結変性は比較的0゜Cに近い温度の凍結条件で著しいことを見出した. また蛋白濃度が低い程著しいことを見出した.2)この卵白アルブミンの凍結変性はTritonX-100,Tween20, その他の非イオン性界面活性剤の低濃度の存在で完全に保護されることを見出した. この界面活性剤による凍結変性の保護はこれまで全て知られていなかった新事実である.3)上記の研究成果を発展させ, 実際の食品に適用するため, 兎節肉のミオシンを材料として, 凍結変性の研究を行った. ミオシンの場合は溶解度と同時にATPase活性をその変性の指標として用いた.4)兎ミオシンATPaseを卵白アルブミンと同様に, 0゜Cに近い凍結状態でより著しい変性を受け, 蛋白質濃度が低い程変性が著しい.5)非イオン性の界面活性剤であるTween20により凍結変性が保護された. 更に興味あることは, 来から凍結変性防止材として知られている糖, グリセロールは, 比較的高濃度で効果が認められていたものであるが, 非イオン性界面活性剤と共存させることにより, より低濃度で保護効果を示すことを見出した. この事実は実用上重要な意味のあることと考える.