著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 齋藤 昌義 西成 勝好 山野 善正 神山 かおる
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.337-346, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
40
被引用文献数
19 31

日本語のテクスチャー用語を収集し, 以下の知見を得た. 116人を対象としたアンケートによって用語を収集し, 討議により整理したところ332語を得た. これに文献調査の結果から94語を追加して426語とした. テクスチャーの研究者55人に用語の妥当性を評価させ, 専門家4人に面接調査を行って用語を削除, 追加し, 最終的に445語のテクスチャー用語を得た.1960年代に収集されたテクスチャー用語と比較したところ, “もちもち” “ぷりぷり” など新しい用語がみられた. また, 中国語などと比較すると, 日本語のテクスチャー表現は数が多いことが示された.テクスチャー用語の約70%は擬音語・擬態語であることから, 日本語のテクスチャー表現に擬音語・擬態語が重要な役割を果たすことが示唆された.
著者
早川 文代 井奥 加奈 阿久澤 さゆり 齋藤 昌義 西成 勝好 山野 善正 神山 かおる
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.337-346, 2005-08-15
被引用文献数
9 31

日本語のテクスチャー用語を収集し, 以下の知見を得た. 116人を対象としたアンケートによって用語を収集し, 討議により整理したところ332語を得た. これに文献調査の結果から94語を追加して426語とした. テクスチャーの研究者55人に用語の妥当性を評価させ, 専門家4人に面接調査を行って用語を削除, 追加し, 最終的に445語のテクスチャー用語を得た.<br>1960年代に収集されたテクスチャー用語と比較したところ, "もちもち" "ぷりぷり" など新しい用語がみられた. また, 中国語などと比較すると, 日本語のテクスチャー表現は数が多いことが示された.<br>テクスチャー用語の約70%は擬音語・擬態語であることから, 日本語のテクスチャー表現に擬音語・擬態語が重要な役割を果たすことが示唆された.
著者
有本 恭子 中野 優子 望月 寛子 齋藤 昌義 早川 文代
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.121, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】みその消費量は年々減少傾向である。しかし、近年では、みその生理学的機能、和食・伝統食の価値の見直しの動きなどの観点から、みそを用いた料理に対する関心は高まっている。本研究では、食生活の変化を示す資料として、NHK「きょうの料理」を用いて、1958年から現在に至るまでの、みそ料理の変化の実態を把握し、その背景を考察した。【方法】1958年〜2020年に発刊されたNHK「きょうの料理」について、創刊年と1960年以降10年間隔で収集した82冊を資料として用いた。掲載料理数、みそ料理数、みそ料理のカテゴリー分類(主食・主菜・副菜・汁物・その他)、みそ料理の料理様式(和風・洋風・中国風)、みそ汁の具材料と作り方を調査項目とした。【結果・考察】みそ汁は、2000年以降、材料と分量、作り方の記載が増加した。背景には、家庭内でのみそ汁の摂食頻度の減少、核家族化の進行、加工食品の普及により、家庭内での料理の継承の機会が減少したことが考えられる。みそ汁の具材料では、全調査期間で野菜類が最も多かった。1990年以降、トウモロコシ、牛乳、キムチ、さば缶などがみそ汁の具に使われるようになり、みそ汁の具に変化がみられた。冊子ページ数の増加とともに掲載料理数は増加したが、みそ料理の掲載数には、大きな変化はみられなかった。みそ料理のカテゴリー分類では、主菜の記事の割合が増加していた。みそ料理の料理様式では、洋風料理と中国風料理の記事の割合が増加しており、食生活の多様化とともに、みそは和風料理だけでなく、さまざまな使われ方をしていることが推察された。本研究により、家庭内の料理を継承する機会の減少や、食生活の多様化に伴って、みそ料理の料理様式や調理法が多様化していることが推察された。
著者
寺澤 洋子 古賀 貴子 齋藤 昌義
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.599-604, 2014 (Released:2015-03-26)

牛挽肉の直火焼き(素焼きおよび照り焼き,焼き時間はともに12分間および24分間)における有効性リジン量の変化を知る目的で,小形のミンチボール状のものを試料とした。これら試料について,主に加熱,しょう油-みりんの混合液によるアミノカルボニル反応(褐変)の影響を検討した。(1) 水分量は,素焼きおよび照り焼きともに有意に減少したが,その減少率は素焼きの方で高かった。(2) 照り焼きに関し,窒素量の変化は認められなかった。(3) 色調L*は,素焼きおよび照り焼きともに加熱により低下し,色差ΔE*は照り焼きの方でより顕著であった。(4) 有効性リジンの減少率は,素焼きにおける12分間および24分間加熱した試料に比較し,照り焼きで加熱した試料ではそれぞれ2倍の高値であった。水分量および色調L*は有効性リジン量の減少率に高い正の相関を示した。直火焼きにおける水分減少(加熱)に伴いアミノカルボニル反応が進み,L*は低下し,有効性リジン量は減少するものと考えられた。(5) 酸化度 TBA値は,照り焼きよりも素焼きの方で高かった。また,COVは,素焼きにおいて焼き時間に伴って有意に減少した。
著者
門間 美千子 齋藤 昌義 千国 幸一 斎尾 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.938-942, 2000-12-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

米胚乳部の主要な貯蔵タンパク質であるプロラミンは層状の堅固な構造をもつ難消化性のプロテインボディに蓄積される.本研究では,胚乳に含まれる貯蔵タンパク質の組成や,そのうちのプロラミンのポリペプチド組成がPB-Iの構造に与える影響を検討するために,貯蔵タンパク質組成の異なる変異体米の胚乳組織の微細構造を透過型電子顕微鏡で観察した.プロラミン組成の変異体のうち,esp-1(13kd-b減少変異体)の組織構造およびPB-Iの構造は,これまでに報告した通常の米とほぼ同様であった.しかし,esp-3(13kd-a,10kd減少変異体)では,PB-Iの層状構造の密度が低く,輪郭が不明瞭であり,Esp-4(10kd,16kdプロラミン増加変異体)では,高密度の層状構造をもったPB-Iが数多く観察された.これらPB-I構造の差異は,プロラミン構成ポリペプチドに含まれるシステイン含量の変動によると推定された.一方,グルテリン増加変異体の胚乳細胞では,PB-Iと見られる顆粒は,小型で層状構造もほとんど観察されず,グルテリンの増加が,PB-Iの形成に影響を与えることが示唆された.