著者
馬場 敦子 合田 典子 白井 喜代子 岡崎 愉加
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.19-25, 2001-02-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

20歳代の看護系女子学生102人の飲食物からの水分摂取量を, 5月初旬~6月初めの1日間食事調査により調べた。調査日は, 発汗を自覚しない1日とした。102人中8人が, 食事調査日の1日尿量を測定した。調査を平日に行った学生は102人中56人 (55%), 休日は46人, 調査日に1人暮らしであった学生は80人 (78%), 家族と同居は22人, 生活活動強度Iであった学生は94人 (92%), IIは8人であった。102人の飲水回数は平均3.9回, 食事回数は間食を入れて平均3.5回で, 平日か休日か, 1人暮らしか家族と同居か, 生活活動強度IかIIか等による有意差はなかった。102人の飲食物からの合計水分摂取量の平均値は1,543mlで, 飲料から774ml, 食物から768mlとっていた。飲料そのものの摂取量は793mlで, そのうちの約半分を緑茶, ウーロン茶等でとっていた。1人暮らしの学生の飲食物からの合計水分摂取量は, 家族と同居の学生のそれよりも283ml少なかった。これは, 1人暮らしの学生の食物からの水分摂取量が256ml少なかったことによるもので, 主な原因は, 1人暮らしの学生の食品摂取重量が193g少なかったためであった。食物からの水分摂取量は, 食品摂取重量と最も強く正相関し, エネルギー及び栄養素摂取量とも正相関した。また, 102人の食品摂取重量の平均値は855g, エネルギー摂取量は, 1,462kcal, ナトリウムは144mEq (食塩相当量8.4g), カリウムは53mEq (2,072mg), カルシウムは507mg, リンは807mgであった。たんぱく質, カリウム及びビタミンCの摂取量の平均値は, 1人暮らしの学生のほうが, 家族と同居の学生よりも有意に少なかった。エネルギー及び栄養素摂取量は平日と休日及び生活活動強度IとIIで有意差はなかった。食品摂取重量, エネルギー及び栄養素摂取量は, いずれも平成9年国民栄養調査結果の同年代女子の成績に比べて少なめであったが, 第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-との比較では, エネルギー摂取量がやや少なかった以外はほぼ同等であった。更に, 8人の1日尿量の平均値は1,338mlであった。1日尿量は, 飲料からの水分摂取量, リン, たんぱく質, カリウム等の摂取量及びカルシウム/リン比等と相関係数で, 約0.7~0.5の関係を有したが, 今回のサンプルサイズでは, いずれの項目も尿量と統計学的に有意の相関とは判定されなかった。なお, 8人の水分, エネルギー及び栄養素摂取量, 尿量の各平均値から, 1日の総水分出納を概算したところ, 排泄が供給を約450ml上回った。原因として, 食事調査での誤差, 不感蒸泄や糞便中への排泄量などの概算による誤差等が考えられた。
著者
井田 歩美 合田 典子 片岡 久美恵
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.427-436, 2013-01
参考文献数
20

近年,核家族化や地域連帯感の希薄化による子育ての孤立が指摘されている。一方で,インターネットの急速な普及により,乳幼児の母親世代でのインターネット利用は日常化していると推察される。そこで,専門職者としての具体的な支援のあり方を検討するため,母親の子育て情報に関するインターネット利用の実態を調査し,その特徴と課題を明らかにすることとした。方法は,平成22年3〜4月に乳児を対象とした市町村主催の『子育てふれあい教室』に参加した乳児の母親を対象とし,無記名自記式質問紙を用いた実態調査研究を行った。調査内容は,対象の属性,インターネットの利用状況などである。131人から回答を得(回収率92.9%),有効回答数は127人であった。結果,子育てに関連しインターネットを利用している母親は約8割であった。その利用状況は頻度および時間ともに健全で,メリットやデメリットを理解したうえで利用していた。専門職者は,母親の多くがインターネット上で情報収集や意見交換をしている現状を認識し,積極的に関心を寄せる必要がある。さらに,今後は母親の望むインターネット情報について把握し,分析する必要がある。
著者
井田 歩美 合田 典子 片岡 久美恵
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.427-436, 2013-01
被引用文献数
1

近年,核家族化や地域連帯感の希薄化による子育ての孤立が指摘されている。一方で,インターネットの急速な普及により,乳幼児の母親世代でのインターネット利用は日常化していると推察される。そこで,専門職者としての具体的な支援のあり方を検討するため,母親の子育て情報に関するインターネット利用の実態を調査し,その特徴と課題を明らかにすることとした。方法は,平成22年3〜4月に乳児を対象とした市町村主催の『子育てふれあい教室』に参加した乳児の母親を対象とし,無記名自記式質問紙を用いた実態調査研究を行った。調査内容は,対象の属性,インターネットの利用状況などである。131人から回答を得(回収率92.9%),有効回答数は127人であった。結果,子育てに関連しインターネットを利用している母親は約8割であった。その利用状況は頻度および時間ともに健全で,メリットやデメリットを理解したうえで利用していた。専門職者は,母親の多くがインターネット上で情報収集や意見交換をしている現状を認識し,積極的に関心を寄せる必要がある。さらに,今後は母親の望むインターネット情報について把握し,分析する必要がある。
著者
合田 典子 片岡 則之 奥田 博之 梶谷 文彦 山本 尚武 清水 壽一郎
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

研究目的:本研究では、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を実時間で解析するため、ECIS(Electrical Cell -substrate Impedance Sensing)法を用い、細胞-細胞間隙と細胞-細胞下基質間隙および細胞自体の挙動をナノオーダーで定量的に計測した。さらに、これらナノ細胞挙動を引き起こす基礎となる細胞骨格や接着因子のダイナミックな変化を共焦点レーザー顕微鏡と原子間力顕微鏡を併用して観察し、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を総合的に解析した。研究の成果:種々の濃度の17β-Estradiol(E_2)付加後の内皮細胞の微細動態(細胞-細胞間隙,細胞-細胞下基質間隙,細胞自体の挙動)をECIS法にて経時的に計測したところ、高濃度のE_2の負荷によりインピーダンスは減少し、細胞-細胞間隙が拡がったことが示唆された。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて機械的な弾性特性を測定した結果、高濃度のE_2による内皮細胞辺縁部の弾性は変化せず、成熟女性の生体内濃度(E_210^<-10>及びE_210^<-11>mol)では同部の弾性率を各々61%,56%低下させ、生理的濃度のE_2が内皮細胞の細胞ミクロメカニクスを有意に変化させた。また、動脈硬化症の危険因子として注目されている酸化LDLを培養内皮細胞に作用させた実験を併せて行った。健常者の酸化LDLはヒト血漿LDL画分中の0.01%程度とされるが、その影響を強調するため50μg/ml,100μg/ml及び200μg/mlの高用量を20時間作用させた。インピーダンスは全体として11%増大し、細胞-細胞間隙、細胞-細胞下基質間隙共に増大することが示唆された。また内皮細胞辺縁部弾性率はコントロール群に比べ、70〜80%の低下を示し、酸化LDLは細胞内皮の透過性の上昇及びバリア機能の低下を引き起こすことが示唆された。今後、酸化LDLが内皮細胞に及ぼすこれらの作用に対するエストロゲンの効果を検討する予定である。