著者
吉場 史朗 加藤 俊一 大谷 慎一 小原 邦義 前田 清子 南 睦彦 寺内 純一 渡会 義弘 金森 平和 稲葉 頌一 絹川 直子
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.48-57, 2009 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

目的: 人間が一生の間にどの程度,輸血を受けるのかを知ることは,献血の際に,ボランティア·ドナーに説明するための必要なデータの一つである. 方法: 輸血回数を求めるに当たって,1.年齢別·性別人口,2.供給された献血本数,3.輸血を受けた患者の性別と年齢,を2つの県で集めた.第一は2002年の福岡県で,もう一つは2005年の神奈川県であった.各年齢の輸血回数の計算は,[Page=nage/Nage×T/t]の式で求めた.{Page:nage:各年齢の輸血患者実数,各年齢(Nage)ごとの輸血回数,T: 一年間に供給された血液本数,t: 病院で輸注された血液本数} 結果: 1)福岡県の2002年の全人口は,5,034,311名であった(男性2,391,829; 女性2,642,482).地域の赤十字血液センターは福岡県で輸血されるすべての血液をカバーしていた.2002年の血液供給本数は226,533本であった.一つの大学病院で輸血された患者数は,1,190名(男性646,女性544)であった.これらの患者に使用された血液は13,298本(男性7,210,女性6,088)であった.2)神奈川県の2005年の人口は,8,748,731名であった(男性4,420,831; 女性4,327,900).地域の赤十字血液センターは福岡県と同様,県内使用血液のすべてをカバーしていた.2005年の供給本数は297,592本であった.5つの大学病院と1つのがん専門病院で輸血を受けた患者の総数は3,744名(男性1,673,女性2,071)であった.これらの患者に使用された血液は57,405本(男性31,760,女性25,645)であった.男性の寿命を79歳とすれば,福岡県で0.420回,神奈川県では0.297回輸血を受けていた.女性の平均寿命を87歳とすれば,福岡県では0.344回,神奈川県では0.275回輸血を受けていた. 結論: 我々のデータから,日本人は一生の間に男性は1/3,女性は1/4が輸血を受けると考えられた.さらに,輸血の可能性は80歳以上で男性,女性ともに急増していた.
著者
岡村 かおり 池田 鉄輔 島倉 康仁 吉場 史朗 岸 賢治 安藤 潔 堀田 知光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.527-531, 2005 (Released:2009-07-28)
参考文献数
9

症例は34歳,女性。白血球数17,900/μl(異型リンパ球58%)を指摘され精査にてT細胞性前リンパ球性白血病と診断した。2カ月後に白血球数43,600/μlまで増加したため,2'deoxycoformycinおよびCHOP療法を施行するも寛解せず,非血縁BMTを目的に入院した。cytarabineとetoposideで腫瘍量を減少させた後にTBIとcyclophosphamideによる前処置を行い,非血縁BMTを施行した。GVHD予防にはcyclosporineとshort-term MTXを用いた。Day 13よりGrade IIの急性GVHD(皮膚と消化管)を発症したが,Day22の末梢血T細胞のshort tandem repeat (STR)解析でrecipient-typeが9.4%と腫瘍細胞の残存を認めた。免疫抑制剤の減量を開始するもGVHDの悪化はなく,recipient-typeのT細胞が消失した。移植後22カ月経過した現在も完全寛解を維持しており,T-PLLにおいてGVL効果が期待できることが示唆された。
著者
岡村 かおり 池田 鉄輔 島倉 康仁 吉場 史朗 岸 賢治 安藤 潔 堀田 知光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 = The Japanese Journal of Clinical Hematology (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.527-531, 2005-07-30
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は34歳,女性。白血球数17,900/&mu;<i>l</i>(異型リンパ球58%)を指摘され精査にてT細胞性前リンパ球性白血病と診断した。2カ月後に白血球数43,600/&mu;<i>l</i>まで増加したため,2'deoxycoformycinおよびCHOP療法を施行するも寛解せず,非血縁BMTを目的に入院した。cytarabineとetoposideで腫瘍量を減少させた後にTBIとcyclophosphamideによる前処置を行い,非血縁BMTを施行した。GVHD予防にはcyclosporineとshort-term MTXを用いた。Day 13よりGrade IIの急性GVHD(皮膚と消化管)を発症したが,Day22の末梢血T細胞のshort tandem repeat (STR)解析でrecipient-typeが9.4%と腫瘍細胞の残存を認めた。免疫抑制剤の減量を開始するもGVHDの悪化はなく,recipient-typeのT細胞が消失した。移植後22カ月経過した現在も完全寛解を維持しており,T-PLLにおいてGVL効果が期待できることが示唆された。