- 著者
-
吉川 雅英
- 出版者
- 一般社団法人 日本物理学会
- 雑誌
- 日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.4, pp.232-238, 2003-04-05 (Released:2008-04-14)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
-
2
地球上で最小の化学・力学エネルギー変換装置とは何だろうか?それは恐らく,キネシンと呼ばれる生体分子モーターであろう.この15年ほどの間に,遺伝子工学,一分子計測技術,構造生物学などの長足の進歩により,およそ5-6mmの大きさのキネシン分子が,どうやって働いているのか?という疑問に対して,定性的な話から,より定量的な観測がなされるようになってきた.本稿では,その中でもキネシン分子の「構造」を調べることで,どんなことが,どこまでわかってきたのかを解説する.