著者
吉村 健志 宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.73-80, 2016-10-28

近年,将棋やオセロといった2人零和確定完全情報ゲームにおいて,トップ層の人間と同等の実力を持つプレイヤが実現されている.しかし,ポーカーや麻雀といった不確定不完全情報ゲームでは,そのようなプレイヤを実現することは難しい.本論文は4人零和不確定不完全情報ゲームである麻雀を取り上げる.そこで,本論文では,トップ層の人間に勝る麻雀プレイヤを実現するために,多人数不完全情報ゲームにおける最適行動の探索を検討する.ここでは,トップ層の人間の牌譜の知識を用いず,シミュレーションによって最適解の探索を行うタブーサーチを用いる手法を提案する.タブーサーチを適用するのは,打牌選択の局面と鳴きの局面である.提案手法を実現し,一致率実験とベンチマークプレイヤとの対局実験を行った.一致率実験によって,序盤の局面に対して,有効な和了形を最大$85\%$で見つけることができ,さらに,対局実験によって,提案手法がベンチマークプレイヤよりも優れているという結果が得られた.これらの結果から,タブーサーチによる最適解の探索が有効である可能性を示した.