著者
宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.5, pp.1-7, 2014-01-18

伝統技能の継承を目的として,「間」 に着目して基本動作についての検討を行ってきている.これまでに,「間」 の種類についての考察を行い,また,茶道のお点前から 「間」 に着目して基本動作の導出を試みてきている.本論文では,まず,テンポを変化させて表情付けや感情込めをする演奏・動作を 「間」 ととらえ,その開始と終了についての考察を行う.ここでは,「早く開始」,「遅れて開始」,ならびに,「遅れて終了」 が使用されていることを示す.次に,動作における 「間」 に着目した基本動作の導出の妥当性を検証する.導出にあたっては,おおまかな動きをもとに典型的な基本動作の区間と類似した区間を求める方法を採っているが,適切な区間長,おおまかな動きの程度,ならびに,類似か否かを判断する閾値が必要である.本論文では,これまでに得られている値が妥当であることを示す.また,基本動作の導出を試みる.
著者
尾関 基行 野宮 浩揮
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.23-32, 2016-06-20 (Released:2016-06-17)
参考文献数
8

本論文では,近年話題となっている“人工知能”をテーマとした学生実験の設計と実践について述べる.情報工学分野の学生実験でよく実施されている画像処理やシステム制御といったテーマに比べて,人工知能の取り扱う範囲は広く,また各々が独立しているため,トピックを単純に並べただけではその関連性が掴みにくい.そこで我々は,ミンスキーの心的活動の6階層モデルを学生実験の土台に据え,その各階層に一つずつトピックを割り当てることで,トピック間の繋がりを強く意識させる学生実験を設計した.本学生実験では,小型移動ロボットがエネルギーを補給しながらポイントを獲得するタスクを設定し,シミュレータと実機(e-puck)による実験環境を用意した.実際に学生実験として3年間実施し,アンケート評価を行った結果,ミンスキーの心的活動の階層に各トピックが紐付けられたことで相互の関連性がよく理解できたという回答が多く得られた.
著者
吉村 健志 宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.73-80, 2016-10-28

近年,将棋やオセロといった2人零和確定完全情報ゲームにおいて,トップ層の人間と同等の実力を持つプレイヤが実現されている.しかし,ポーカーや麻雀といった不確定不完全情報ゲームでは,そのようなプレイヤを実現することは難しい.本論文は4人零和不確定不完全情報ゲームである麻雀を取り上げる.そこで,本論文では,トップ層の人間に勝る麻雀プレイヤを実現するために,多人数不完全情報ゲームにおける最適行動の探索を検討する.ここでは,トップ層の人間の牌譜の知識を用いず,シミュレーションによって最適解の探索を行うタブーサーチを用いる手法を提案する.タブーサーチを適用するのは,打牌選択の局面と鳴きの局面である.提案手法を実現し,一致率実験とベンチマークプレイヤとの対局実験を行った.一致率実験によって,序盤の局面に対して,有効な和了形を最大$85\%$で見つけることができ,さらに,対局実験によって,提案手法がベンチマークプレイヤよりも優れているという結果が得られた.これらの結果から,タブーサーチによる最適解の探索が有効である可能性を示した.
著者
中村 哲也 瀧 敬士 野宮 浩揮 上原 邦昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2579-2588, 2008-11-01
被引用文献数
3 13

近年,時系列データの分類に関する研究が盛んに行われている.しかし,既存の類似度測定手法は,データ整合,ノイズ,計算コストなどの問題がある.また,座標値のみの計算ではあらゆる時系列データを安定して分類できないという問題もある.これは,時系列データがもつ波形の振幅,振動数,概形などの特徴も考慮する必要があるからである.本論文では,前者の解決のために類似度測定手法Angular Metrics for Shape Similarity (AMSS)を提案する.AMSSは時系列データをベクトル列として扱い,ベクトルの角度を比較して類似度を計測している.角度の比較にはコサイン類似度を用い,ノイズのような類似しない部分を無視している.また,動的計画法で系列間の類似度を計算して,データ整合の問題を解決している.一方,後者の解決のために,それぞれの特徴に合わせた分類アルゴリズムを複数用意し,アンサンブル学習の枠組みを導入したメタアルゴリズムにより,それらを組み合わせて分類を行う.その結果,個々の識別器を単独で利用するよりも分類精度が向上することを示す.
著者
野宮 浩揮 宝珍 輝尚
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.2, pp.193-205, 2012-02-01

大規模な映像データベースからの人物を含む印象的なシーンの検索を目的としたシーン検出法を提案する.本論文では,映像中の人物に何らかの感情が表出しているシーンを印象的なシーンと捉え,人物の表情を認識し,表情に変化が現れたシーンを感情表出シーンとして検出する.まず,効率的に表情の認識を行うために,眉,目,口の端点などの顔特徴点の位置関係と顔画像の輝度値から高速に求められる特徴量を提案する.また,これらの中から有用な特徴量を選択し,認識対象の表情の種類に応じた数の表情認識モデルを生成する.それらをアンサンブル学習を用いて統合することにより,認識精度と認識速度のトレードオフを考慮した表情認識法を提案する.更に,映像中の各フレーム画像に対する表情認識結果から,表情表出開始フレームと表情表出終了フレームを特定して表情表出シーン検出を行う手法を構成し,提案手法の表情表出シーン検出性能の評価を行う.