著者
宝珍輝尚 安達 政伸 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.70, pp.43-48, 1996-07-25
参考文献数
5

考古学では、遺跡から発掘された遺物のデータのデータベース化が強く望まれ、そこからの新たな発見の導出や仮説の検証のサポートが望まれている。そこで、考古学の遺物のデータとして、一乗谷朝倉氏遺跡から出土した染付の碗や皿を例に、通常のクラスタ分析を行ったところ、定説とされている分類が得られなかった。これは、定説とされている分類では、一つの項目が複数の分類に出現しているためであった。そこで、このような分類を可能にするように、1回のクラスタ分析で最も類似性の高いクラスタを求め、そのクラスタに属するデータを取り除いて再度クラスタ分析を行うという方法を用いた。これにより、定説に近い分類を得ることが出来た。Archeologists require to build databases of remains, and to discovery new facts and to test assumptions. The pieces of china dug up from Asakura site have been already categorized by the archeologists. We tried to categorize them through the cluster analysis in order to obtain the same categories as the authorized ones. The ordinary clustering method can not bring us the required categories. This reason is that the authorized categories share the same item. Then, the clustering method is improved to obtain one cluster in one clustering process. This method brings us the categories similar to the authorized one.
著者
佐藤 哲司 福原 知宏 宝珍 輝尚 斉藤 和巳
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ブログやツイッターなどのUGC(User Generated Contents)は, 複数の著者によって断片的に書かれた記事の集合体である.本研究では, 大量な記事集合における、記事間の関連性や類似性を手がかりに, 記事間や著者間の経時的な変容の解明手法、文章の印象評価手法を確立するとともに, それらの知見に基づく新たな情報探索手法を考案した.質問回答サイトのアーカイブデータ等を用いた評価を行い, 考案手法の有効性を確認した.
著者
宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.5, pp.1-7, 2014-01-18

伝統技能の継承を目的として,「間」 に着目して基本動作についての検討を行ってきている.これまでに,「間」 の種類についての考察を行い,また,茶道のお点前から 「間」 に着目して基本動作の導出を試みてきている.本論文では,まず,テンポを変化させて表情付けや感情込めをする演奏・動作を 「間」 ととらえ,その開始と終了についての考察を行う.ここでは,「早く開始」,「遅れて開始」,ならびに,「遅れて終了」 が使用されていることを示す.次に,動作における 「間」 に着目した基本動作の導出の妥当性を検証する.導出にあたっては,おおまかな動きをもとに典型的な基本動作の区間と類似した区間を求める方法を採っているが,適切な区間長,おおまかな動きの程度,ならびに,類似か否かを判断する閾値が必要である.本論文では,これまでに得られている値が妥当であることを示す.また,基本動作の導出を試みる.
著者
宝珍輝尚 井田 俊博 都司 達夫 樋口 健
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.523-528, 2002-07-18
参考文献数
27

ある画像(音クリップ)と印象の合った音クリップ(画像)を求めるために,画像と音クリップの特徴量から推定された因子得点を使用した画像と音クリップのクロスメディア検索について述べる.まず,これまで検討してきた感性の主因子を用いたクロスメディア検索法について概説する.この方法は,画像,音クリップ,音楽クリップ,動画クリップというメディアデータに共通に存在すると考えられる感性の因子を利用する方法である.つぎに,特徴量から推定された因子得点を使用した画像と音クリップのクロスメディア検索の試みについて述べる.今回は良い検索結果が得られず,この原因について考察する.This paper describes an attempt of mutual adaptation of pictures and sound clips by using the scores of the {\it Kansei} factors. The end of this research is obtaining the pictures (sound clips, respectively) having the similar impression of the specified sound clip (picture). The factor scores used are calculated from the feature values of media data by using the estimation formulas. First, the method of mutual adaptation of multimedia data is briefly described. This method is based on the fact that there may be common Kansei factors for pictures, sound clips, music ones, and video ones. Next, an attempt of mutual adaptation of pictures and sound clips by using the calculated factor scores is presented. The result of the attempt is not sound. Several considerations on the reasons of this result are made.
著者
宝珍輝尚 高田 真介 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.44, pp.17-24, 2001-05-21
参考文献数
22
被引用文献数
4

本論文では,感性の主因子を用いて,あるメディアデータに良く合った他種のメディアデータを求める方法の評価を行う.この方法とは,画像・動画クリップに対する印象は力量性,活動性,明快性,自然性,堅鋭性という因子で表現され,音クリップ・音楽クリップに対する印象は,力量性,明快性,自然性,堅鋭性という因子で表現されるということに基づく方法である.評価の結果,明らかに適合していないもの以外を正解集合とすると,様々なメディアデータを感性の主因子により対応付ける方法は良い検索特性を持つことを明らかにする.This paper evaluates the mutual adaptation of multimedia data by using the human sensitivity factors. The factors for pictures and video clips are explained as those of potency, activity, brightness, naturalness, and sharpness. Those for sound clips and music clips are explained as those of potency, brightness, naturalness, and sharpness. By using these factors different kinds of media data suitable for another kind of media data can be obtained. The evaluation clarifies that this method has good retrieval characteristics for the answer data set that is selected to include the media data that are considered to be suitable to a retrieval key data.
著者
吉村 健志 宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.73-80, 2016-10-28

近年,将棋やオセロといった2人零和確定完全情報ゲームにおいて,トップ層の人間と同等の実力を持つプレイヤが実現されている.しかし,ポーカーや麻雀といった不確定不完全情報ゲームでは,そのようなプレイヤを実現することは難しい.本論文は4人零和不確定不完全情報ゲームである麻雀を取り上げる.そこで,本論文では,トップ層の人間に勝る麻雀プレイヤを実現するために,多人数不完全情報ゲームにおける最適行動の探索を検討する.ここでは,トップ層の人間の牌譜の知識を用いず,シミュレーションによって最適解の探索を行うタブーサーチを用いる手法を提案する.タブーサーチを適用するのは,打牌選択の局面と鳴きの局面である.提案手法を実現し,一致率実験とベンチマークプレイヤとの対局実験を行った.一致率実験によって,序盤の局面に対して,有効な和了形を最大$85\%$で見つけることができ,さらに,対局実験によって,提案手法がベンチマークプレイヤよりも優れているという結果が得られた.これらの結果から,タブーサーチによる最適解の探索が有効である可能性を示した.
著者
宝珍輝尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.444-452, 1994-03-15
被引用文献数
3

データがグラフ(データ表現グラフ)で表現されているデータベースに対する統合演算を提案する。提案する統合演算は、2つのデータ表現グラフをマージする集合橿向の演算である。本演算は、あらかじめすべてのデータを1連結グラフで表現しにくい場合に、とりあえずn個の連結グラフとしてデータを格納し、検索時に動的に点を統合して操作する場合や、既存の点をマージしてあらかじめ設定された構造と異なる構造のグラフとしてデータを操作する場合に有効である、本論文では、まず、前提とするグラフに基づくデータモデル、ならびに、問い合せ方式について述べる。次に、従来提案されているグラフに対する集合指向の演算について述ぺ、これらの演算ではアドホックに2つのデータ表現グラフをマージしようとすると手続き的になり使用に耐えないという間題点を示す。そして、この問題点を解決する統合演算を提案する。統合演算として、データ表現グラフの要素の一意性に墓づく関係続合、制約統合、外統合を提案し、要素の値に墓づいて統合を行うための複写指定と融合指定を提案する。最後に、提案した演算の宣言性を評価し、アドホック問合わせにおいて有効であることを示す。
著者
宝珍輝尚 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.11-21, 2000-02-15
参考文献数
29
被引用文献数
3

本論文では,マルチメディアデータの内容表現に使用することを目的として,有向グラフ,再帰グラフ,ならびに,超グラフの概念を導入したデータモデルを提案する.提案するデータモデルでは,データ実体を再帰有向超グラフとして表現する.このデータ実体を表現するグラフを実体グラフと呼ぶ.また,実体グラフの集まりを集積グラフとして扱う.さらに,集積グラフの構造を表現するシェイプグラフを導入する.演算はグラフの書き換えによるものであり,再帰的な問合せたパス上の正規表現による問合せを可能としている.本論文では,概説に続いて定義を示し,その後,実体グラフの枝の終始要素の深さを利用すると実体グラフを分割して表現できるか決定できることを示す.また,書き換え演算は複合値を扱うように拡張したdatalogプログラムで記述できることを明らかにする.This paper propose a data model incorporating the concepts of directed graphs, recursive graphs, and hypergraphs in order to represent the contents of multimedia data. In the proposed data model, an instance is represented with a directed recursive hypergraph. This graph is called an instance graph. A collection of instance graphs is managed as a graph named a collection graph. A shape graph, which represents the structure of a collection graph, is also introduced. An operation rewriting collection graphs is introduced to manipulate the collection graphs. This operation enables users to make recursive queries, and specify regular expressions on paths. This paper presents an illustrative example, and the formal definition of the proposed data model. It is clarified that whether the instance graph may be divided can be decided by using the depth of the initial and/or terminal elements of the edges of an instance graph. Moreover,the operation can be converted into the datalog program extended to treating complex values.
著者
宝珍 輝尚 山口 伸也 都司 達夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.36, pp.25-30, 1997-05-13
被引用文献数
7

本論文では,感性の主因子を用いて多種のメディアデータの検索を行うシステムの改良について述べる.まず,画像と音声に対する感性の主因子を求める.画像に対しては,「評価性」,「力量性」,「活動性」という3つの主因子が得られ,音声に対しては,「評価性」,「緊張性」,「力量性」という3つの主因子が得られた.次に,これらの感性の主因子に対する特徴量の算出方法について述べ,これらの感性の主因子と特徴量を利用するように検索システムを改良する.本システムを風景画と自然音を対象として評価したところ,画像に対しては良好な評価結果が得られ,音声に対しては「緊張性」と「力量性」について良好な評価結果が得られた.
著者
中田 充 宝珍輝尚 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.38, pp.1-8, 1997-05-13
参考文献数
9
被引用文献数
3

サイエンティフィックデータベース管理システムDREAMのデータモデルであるDREAMモデルでは,データはデータエレメントと呼ばれる要素に格納される.名前付きエレメントはデータに名前を付けるための要素であり,視点はその集合として定義される.さらに,オブジェクトは視点の集合であり,オブジェクトの集合はバンドルと呼ばれる.この内,名前付きエレメント,視点,オブジェクト,バンドルの基本的な構造は(識別子,名前,集合)の3つ組である.この3つ組のことを名前付き集合と呼ぶ.本論文では,まず名前付き集合に関してその構造や演算を定義し,名前付き集合を用いた名前付き集合モデルを提案する.そのあと,名前付き集合モデルを用いてDREAMのデータモデルの定義を行う.DREAM model is a data model for a scientific DBMS DREAM. In DREAM model, data is stored into a data element. A named element is to relate a name with data elements. A set of named elements is called perspective. Furthermore, an object is a set of perspectives, and a set of objects is called a bundle. Structure of every DREAM element except data element can be treated as a triplet (id, name, S), where id is the identifier of the triplet, name is the name of the triplet and S is the corresponding set of DREAM elements. We call this triplet as the named set and the data model employing these triplets as the named set model. First, this paper proposes a named set model including unified operations on the triplets. Secondly, it defines the DREAM model using the proposed named set model.
著者
宝珍輝尚 中田 充 都司 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.60, pp.33-40, 1998-07-17
参考文献数
16

サイエンティフィックデータベース管理システムDREAMでは,集合を用いてデータを表現している.また,データベースの構造を記述しデータベースへの更新に従って変化するシェイプも一種の集合に基づいている.これまでに,DREAMのデータベースの要素ならびにシェイプを共通的に表現することを目的として,名前付き集合モデルを提案し,そのためのライブラリを実現してきた.本論文では,この名前付き集合モデルのためのライブラリを用いてデータベースの要素ならびにシェイプを実現した結果について報告する.データベースの要素ならびにシェイプのためのクラスを名前付き集合クラスのサブクラスとし,その構造とメソッドを利用することにより,実現が容易であることを示す.The scientific database management system called DREAM manages data by using sets. Shape, which is the information describing a database, and is changed according to the database updates, is also based on a set. The Named Set Model has been proposed to represent both kinds of database elements and shape in DREAM. The software library for this data model has been constructed. This paper describes the implementation of database elements and shape through this software library. The classes of database elements and shape are implemented as the subclasses of the class Named_-set. Using the structure and the methods of named sets enables us to implement database elements and shape easily.
著者
野宮 浩揮 宝珍 輝尚
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.2, pp.193-205, 2012-02-01

大規模な映像データベースからの人物を含む印象的なシーンの検索を目的としたシーン検出法を提案する.本論文では,映像中の人物に何らかの感情が表出しているシーンを印象的なシーンと捉え,人物の表情を認識し,表情に変化が現れたシーンを感情表出シーンとして検出する.まず,効率的に表情の認識を行うために,眉,目,口の端点などの顔特徴点の位置関係と顔画像の輝度値から高速に求められる特徴量を提案する.また,これらの中から有用な特徴量を選択し,認識対象の表情の種類に応じた数の表情認識モデルを生成する.それらをアンサンブル学習を用いて統合することにより,認識精度と認識速度のトレードオフを考慮した表情認識法を提案する.更に,映像中の各フレーム画像に対する表情認識結果から,表情表出開始フレームと表情表出終了フレームを特定して表情表出シーン検出を行う手法を構成し,提案手法の表情表出シーン検出性能の評価を行う.
著者
山崎 顕治 都司 達夫 宝珍輝尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.7, pp.1-8, 1997-01-21
被引用文献数
2

分散システムには非分散システムとは異なる性質があり、分散システムの性質を十分に活用するためには、プログラミングに際してそのことによく留意する必要がある。分散アプリケーションを作成するための基盤のひとつに、ORB(bject Request Broker;オブジェクトリクエストブローカー)[1]がある。ORBは一般にネットワーク透過かつ言語独立なオブジェクト間通信を実現するためのシステムあり、分散プログラミングで問題となる様々な問題(ネットワーク操作、アーキテクチャ毎の違い、実装言語の違いなど)を隠蔽し、非分散システムの場合と同様のコーディングで分散アプリケーションを作成可能になる点がその大きな特徴である。しかしながら、非分散システムと同様のモデルに基づいてプログラミングを行なうと、分散システムに特有の性質、例えばシステム全体を停止することなくメンテナンスを行なえる必要があるなどの要求に十分に対応することができない。そこで本論文では、動的に分散システムを再構成可能にする機能をORBに付与することでこれらの問題の解決を行なうための考察を行なう。Distributed systems have properties that are not shared with non-distributed system. In order to utilize a distributed system well, we must know them sufficiently. One of the platforms to construct applications is ORB(Object Request Broker)[1]. In general, ORB is a system to guarantee the network transparent and language independent communications among object. Various problems arising in distributed programming (network operations, differencies of architectures, differncies of implementation languages) can be hidden by using ORB. One of the most important features of ORB is that it enables the similar coding of a distributed application as in the case of a non-distributed system. In spite of such advantage, we cannot fully satisfy the requirement specific to a distributed system such as maintainability without stopping the system, if we make a programming based on the similar model as non-distributed system. In this paper, we give several considerations on the functions necessary to reorganize a distributed system dynamically, and we solve the above problems described above by providing these functions on ORB.