著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人
出版者
社団法人地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011-07

本文データは地盤工学会の許諾に基づき登録したものである岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った. 破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した. 針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった. 部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た. また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1XEcJIS程度であることがわかった. 墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した.Geotechnical characteristics for the earth mound of historical tumuli are recently strongly required during the archeological investigation because the mechanical properties of mound soils have to be evaluated for conservation of those tumuli particularly in the case that they have to be restored or partly reconstructed. In the present paper, the procedure of the geotechnical investigation for geo-relics is introduced by exemplifying the achievement for the Hirui-Otsuka Tumulus, the largest keyhole shaped one in Gifu Prefecture. Needle penetration test is adopted as an almost non-destructive testing procedure to measure the equivalent uniaxial strength of the tumulus mound with little damage. On the basis of a series of in-situ experimental findings, the horizontally layered structures have been confirmed throughout the tumulus with different earth materials. The typical traces of compacted earth reflecting the procedure of construction of the tumuli mound as a variation of strengths have also been detected. A series of laboratory tests was conducted on the soils excavated from the tumulus as well as artificial ones selected for restoration of the tumulus. The properties of particle size distribution and retention have provided the useful suggestion for reconstruction of the lost tumulus mound that directly contacts the original tumulus mound. Compaction tests on the excavated tumulus mound soils shows that the tumulus mound was constructed with the energy of O.lEcjjs which is almost equivalent to the one with treading down. The investigated results have provided the effective proposal for restoration procedure of the tumulus.
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人 中井 正幸
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011

岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った。破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した。針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった。部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た。また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1×E<sub>cJIS</sub>程度であることがわかった。墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した。
著者
島地 岩根 阿部 勲 武田 明正 吉村 貢 シマジ イワネ アベ イサオ タケダ アキマサ ヨシムラ ミツグ Shimaji Iwane Abe Isao Takeda Akimasa Yoshimura Mitsugu
出版者
三重大學農學部附属演習林
雑誌
三重大学農学部演習林報告 (ISSN:05441005)
巻号頁・発行日
no.16, pp.p61-79, 1988-03

森林未利用資源の一つである樹皮を成型燃料として活用するために、三重大学農学部附属演習林における低質広葉樹林の林分構造と現存量および広葉樹樹皮の諸性質に関する一連の基礎研究を実施した。 1 低質広葉樹林の林分構造と現存量 (1)林分構造 かつて薪炭林として利用されていた低質広葉樹林には、ほぼ30~40種の木本類が生育しており、これらの樹種が、高さ14mから20mに達する高木層、7~13mの亜高木層、6m以下の低木層の三層を形成していた。高木層の構成種としては、コハウチワカエデ、イタヤカエデ、ヤマモミジ、ケヤキ、ミズキ、クマシデ、ヤマザクラなどが優占種であった。亜高木層ならびに低木層においては、エゴノキ、カマツカ、クロモジ、アブラチャン、ヤブムラサキなどが優占種であった。(2)現存量 層別刈取法により調査した部分別の乾重は、上・下層では、幹30.0~34.3kg、樹皮5.2~5.4kg、枝12.8~17.3kg、葉2.0~2.3kgで、各層合計乾重は、上層54.7kg、下層54.6kgであった。林床層では、幹0.075kg、樹皮0.008kg、落枝10.050kg、葉0.140kgで、下層合計乾重は10.3kgであった。各層におけるha当りの合計現存量は、上・下層がそれぞれ11t、林床層が2tで、ha当りの総現存量は24tと算定された。このうち樹皮現存量は、上層1.1t、下層1.0t、林床層0.002tであったが、成型燃料化にあたっては、上・下層に現存するha当り約2tの樹皮を利用対象とし、林床層は植生保続のうえから残存させることが得策であると考えられた。(3)樹皮率 広葉樹の樹皮率は2.4~55.6%にわたり、樹種により、同じ樹種でも異なった。そのため、各層における全樹種込みの樹皮率を求めた。その結果、上層10.1%、下層13.1%、林床層9.6%、平均10.9%となった。したがって、平倉演習林の低質広葉林における樹皮現存量は、皮付き幹現存量の約10%であることが推察された。 2 樹幹樹皮の物理化学的性質と成型性 (1)樹皮の粉砕性 材料の靭性に影響する内樹皮率は樹種によって異なるが、大部分の広葉樹樹幹樹皮の内樹皮率は針葉樹樹皮より大きく、80~90%であった。広葉樹樹皮の粉砕性は、針葉樹の場合と同様、原料の靭性、剛性および粉砕機の種類によって異なる。ウイレーミル試験によると、針葉樹樹皮は広葉樹樹皮より粉砕され易いが、他機種では異なった結果がえられ、特にヒノキ、ケヤキ、ミズナラ樹皮など靭性組織の多い試料は粉砕が困難であった。以上の試験によって、物性の大きく変化する木質系試料ではカッター型粉砕機の方が適当しているものと結論づけられる。(2)樹皮の抽出成分含有量とpH 気幹樹皮の熱水および1%NaOH抽出成分含有率は、それぞれ4.3~28.8%、および21.3~61.0%であり、特にカラマツ、キブシ、ムラサキシキブ、サルナシには多くの抽出物が含有している。また、熱水抽出液はpH3.8~5.7の弱酸性を示し、針葉樹樹皮や一般木材のそれと類似していた。なお、加圧成型試験に供した試料のうち、カラマツ、ミズキ、リョウブ、エゴノキ樹皮には多量のメタノール抽出物を含有していた。(3)樹皮の発熱量 一般的に、木材質の発熱量は4,500kcal/kgであるが、樹皮は灰分および抽出物含有量が大きく異なるため、発熱量の樹種による変動も大であると推定される。しかし、大部分の広葉樹樹皮の発熱量は4,000~5,000kcal/kgであり、針葉樹樹皮より約400kcal/kg小さな値を示した。また、樹皮の灰分含有率は木質部より大であり、灰分含有率と発熱量との間には負の相関関係が認められた。(4) 樹皮の加圧成型性 木質系バイオマスには、非結晶性成分を含んでいるが、これら非結晶性物質は熱可塑性を有しているため、加圧加熱によって自着性を示し、高密度物質とすることができる。ペレット状固形燃料化の難易を判定する指標をえるため、ウイレーミルと粉砕試料から5mm厚のボードを作製し、その平面引張り強さを測定した。試験の結果、スギ樹皮は最も成型性に劣り、カラマツ、エゴノキは易成型性樹皮であり、また一般的に抽出成分量の多い試料は、成型性にすぐれていた。なお、難成型性樹皮は、適当な材料の混入によって改善することが可能である。
著者
三村 衛 吉村 貢 寺尾 庸孝 豊田 富士人 中井 正幸
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-155, 2011-06-30 (Released:2011-07-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

岐阜県最大の前方後円墳である昼飯大塚(ひるいおおつか)古墳の史跡整備の一環として実施された発掘調査に伴い,地盤工学の観点から墳丘盛土の調査を行った。破壊的な調査・試験方法が適用できないことから,本質非破壊調査手法である表面型RI密度水分計と針貫入試験を適用した。針貫入試験による力学的な特徴から墳丘盛土がほぼ水平の構造を持つことが明らかとなった。部分的には斜めの層構造も確認され,古墳墳丘の築造材料の掘削・運搬・荷降ろしの過程を考察する資料を得た。また,強度の変動パターンを分析することにより,墳丘盛土が15~40cm程度の層厚で築造されたという痕跡が得られ,墳丘試料に対する締固め試験により,墳丘盛土の築造時の締固めエネルギーは,およそ人が足で踏み固めたものに相当する0.1×EcJIS程度であることがわかった。墳丘復元に使用される候補材料についても室内地盤材料試験を行って,現墳丘の性状に近い材料を選定し,墳丘復元工事の施工方法を提案した。
著者
Yoshimura Mitsugu 吉村 貢
出版者
三重大学農学部
雑誌
三重大學農學部學術報告 = The bulletin of the Faculty of Agriculture, Mie University (ISSN:04624408)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.47-64, 1984-03

The energy crisis is reviewed by paying attention to forest biomass in the world and in Japan as an energy resource. According to one of the recommendations made at the Nairobi Conference on energy, mechanization system of afforestation, which is presently being pursuied in South Sumatra by the Japanese-Indonesia cooperation, is described. Wood residues in Japan are surveyed and not much used as for energy. A typical example of very local power generation utilizing saw-dust, is given. New solid and liquid composit fuels are introduced and a CCOM is explained by an example. Special charcoal is also shown for comparison with the Asian black charcoal.二度にわたるオイルショックを経て,1978年12月の第33回国連総会において決定された「新・再生可能エネルギーの開発・利用の促進」に関する国連会議が1981年8月ケニア国ナイロビ市において,125ケ国(加盟国154)の代表4000名の参加を得て開催され,この問題に対して国際社会が取るべき方策の基本的枠組を策定し,ナイロビ行動計画を採択した。それによると,化石エネルギー以外の新・再生可能エネルギーとして,薪材,木炭,バイオマス変換,太陽,地熱,水力,風力,潮力,波力等14種類のエネルギー源を対象に各エネルギー毎の個別措置の行動計画が決められている。この行動計画にもり込まれた木質系エネルギーに関する個別措置のうち,優先行動分野として開発途上国の農山村地域の農業生産,農村工業,家庭エネルギーを確保するため,(1)早期成長樹種の選択 (2)低コスト・効率的燃焼器具の開発(3)木炭製造方法の改善 (4)薪材不足地域での薪材用の植林の促進の緊要課題が採択されている。このような国際情勢を背景に経済大国日本の開発途上国援助の一環として,研究開発と普及,技術移転を目的とした日本-インドネシア両国間のグリーンエネルギーセミナーが1982年9月ジャワ島のボゴール農科大学を拠点にして開かれ,川村登教授(京大・農)を団長とする6名が日本学術振興会の援助によって派遣され,開会式に引続き,夫夫の発表と討議を行なった。この論文はこのセミナーにおける林業部門全般を担当した私の報告の全文である。