著者
西山 進 相田 哲史 吉永 泰彦 宮脇 昌二
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.220-226, 2016-09-30 (Released:2016-10-30)
参考文献数
9

目的:原発性シェーグレン症候群(primary Sjögren’s syndrome: pSS)患者の疾患活動性評価と臨床像との関係を調べた. 対象・方法:2010年8月から2014年12月に当科を受診したpSS 74名の臨床情報を診療録から抽出した. 結果:全例女性で,平均年齢は受診時60.7±12.6歳,発症時48.0±13.7歳であった.活動性指標のESSPRI(EULAR Sjögren’s Syndrome Patient Reported Index)とESSDAI(EULAR Sjögren’s Syndrome Disease Activity Index)はそれぞれ72と70名で評価され,中央値はそれぞれ 4.3と3.0であった.ステロイドは60.8%に使用され,投与量はPSL換算で平均3.1±2.1 mg/日であった.ESSDAI<5(低疾患活動性),5~13(中),≧14(高)はそれぞれ45,19,6名であり,高疾患活動性では全例ステロイドが使用され,そのステロイド使用量(6.3 mg)は中および低疾患活動性(両者とも2.7 mg)よりも有意に多かった.発症が40歳未満と40歳以上を比較すると,ESSDAIは40歳未満の若年発症者で有意に高く(中央値7.0 vs. 2.0),その構成成分のうちリンパ節腫脹に有意差を認めた.ESSPRIは両群で差を認めなかったが,その構成成分のうち疲労自覚は若年発症者で有意に高値であった. 結論:若年発症のpSSは疾患活動性が高く,疲労とリンパ節腫脹が顕著であった.
著者
吉永 泰周 長野 史子 金子 高士 鵜飼 孝 吉村 篤利 尾崎 幸生 吉永 美穂 白石 千秋 中村 弘隆 藏本 明子 髙森 雄三 野口 惠司 山下 恭徳 泉 聡史 原 宜興
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.154-161, 2014 (Released:2014-05-07)
参考文献数
23

目的 : 歯周病原細菌と考えられている細菌群はグラム陰性菌であり, 進行した歯周炎患者の歯周ポケット内ではグラム陰性菌が優勢である. しかしながら, 歯肉炎や初期の歯周炎ではプラーク中の細菌はグラム陽性菌が優勢であるため, 歯周ポケット形成の初発時にはグラム陽性菌が大きな影響を与えると考えられる. われわれの過去の実験では, グラム陽性菌であるStaphylococcus aureusとグラム陰性菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansの菌体破砕物で感作したラットの歯肉溝に各菌体破砕物を滴下すると, 両細菌ともに強い歯周組織破壊を誘導した. しかし歯周組織の破壊が著しく, どちらがより強い影響を与えるかについての判断はできなかった. そこで本研究では, グラム陰性菌とグラム陽性菌の歯周組織破壊への影響を比較するために, より低濃度の菌体破砕物を用いて実験を行った. 材料と方法 : S. aureusとA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物にて感作したラットと非感作ラットの歯肉溝内に, 12.5μg/μlの菌体破砕物を頻回滴下し, 病理組織学的に観察した. 無滴下のラットを対照群とした. 結果 : A. actinomycetemcomitans感作群では対照群と比較して統計学的に有意なアタッチメントロスの増加と歯槽骨レベルの減少を認めたが, S. aureus感作群およびA. actinomycetemcomitans非感作群ではみられなかった. 両細菌の感作群では免疫複合体の存在を示すC1qBの発現が接合上皮に観察されたが, 非感作群では認められなかった. 結論 : グラム陰性菌であるA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物のほうが, グラム陽性菌であるS. aureusのそれよりも歯周組織破壊への影響が強いことが示唆された. また, 歯周組織の破壊には免疫複合体の形成も重要であることも改めて示唆された.
著者
吉永 泰之
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive
巻号頁・発行日
no.79, pp.78-82, 2017-10

2017年4月に社名を変更したSUBARU。衝突回避機能の先駆である「アイサイト」が高い評価を受けているのに加え、2012年度以降はグローバルの販売台数が5年連続で過去最高を記録するなど好調な業績が続く。そこには飛行機事業を源流に持つ同社ならではの思いがあった。
著者
橋本 尚子 近藤 文雄 徳永 尚登 岸田 雅之 大塚 文男 大石 徹也 山崎 康司 橋本 洋夫 吉永 泰彦 槇野 博史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.320-322, 2001-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

症例は63歳,男性.約20年前に副甲状腺機能低下症と診断されたが以後十分な加療は受けていなかった.約3年前より歩行時のふらつき,すくみ足,手足のしびれ感などの神経症状が出現したため当科へ入院となった.血液検査にて低カルシウム血症と高リン血症を認め,頭部CT検査にて大脳基底核,小脳歯状核に石灰化を認めた.著明な頭蓋内石灰化にもかかわらず活性型ビタミンD3の投与により血中カルシウム濃度が正常化するに従い,多彩な神経症状は改善した.
著者
伊福部 達 敦賀 健志 吉田 直樹 井野 秀一 吉永 泰 脇坂 裕一 上見 憲弘 和田 親宗 大西 敬三
出版者
北海道大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
1999

本課題の目的は、水素吸蔵合金(MH)アクチュエータを改良して新たな介助機器やリハビリ機器を開発し、高齢社会および地域産業に貢献することである。具体的には、1.寝たきりを防ぐために,被介助者をベッドから車椅子および車椅子からベッドへの移乗する機器,2.脳卒中などによる手足の麻痺や骨折による筋-関節系の拘縮のための関節可動域訓練で必要となるリハビリ機器(CPM)のために利用する。1については,昨年度から引き続き,MHアクチュエータの小型化,高速化、および軽量化を行い,被介助者の生体特性を踏まえた実用性の高い移乗機器の第2号を試作した。さらに、日本製鋼室蘭製作所に隣接する日鋼記念病院で実際の被介助者を対象として移乗介助機器を使用し、現場からの高い評価を得た。2のCPMのためのアクチュエータとしては高分子材料をベローズとして利用することで,極めて小型軽量にすることができ,関節周りに柔軟に装着できるような構造を実現でき,しかも水素漏れは数十日で5%程度であり,金属ベローズに比べて桁違いに廉価にすることができた。今後は,CPMのための最適なヒューマンインタフェースを構築するとともに,使い捨てのCPMを想定し,製品化の道を探る予定である。以上の成果が評価され、福祉機器の開発と販売を行っている会社の協力を得て、この介助機器とCPMを実用化するための組織ができ、科学技術振興事業団からの支援により,来年度から製品化へ向けての具体的な作業に入ることとなった。さらに、この課題の総括として、どのMHアクチュエータがどのような場面で、どのような被介助者に有効であるかを明確にし、将来の需要を見込みながら、高齢社会と地域産業にどこまで貢献できるかを展望した。