- 著者
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吉田 早悠里
- 出版者
- 南山大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本年度は、2017年8月6日~9月5日にかけての約1ヶ月間、エチオピア・オロミア州ジンマ県ゲラ郡に位置するムスリム聖者が暮らす一集落で現地調査を実施した。具体的には、主に以下の3点について調査を実施した。(1) 集落内外の個人・集団間関係:2016年度に調査を行った対象集落の住民74世帯に加えて、近隣集落に居住するムスリムとキリスト教徒、およびオロモ、アムハラ、カファといった民族にも調査対象拡大して世帯調査を実施した。これにより、調査対象集落の住民74世帯が、集落内外でどのような個人・集団間関係を構築し、生活しているのかを具体的に明らかにすることができた。(2) 集落における研究代表者の立場:研究代表者が同集落における重要なアクターとして位置づけられるようになった要因を明らかにするべく、研究代表者の存在がどのように集落の住民にとらえられているのかについて聞き取り、観察を行った。また、集落を拓いた聖者アルファキー・アフマド・ウマルはさまざまな予言を残しており、そのなかには「外国人」に関する予言もある。集落の住民がこうした予言をどのように解釈し、「外国人」と研究代表者をどのように関連づけているのかについても検討した。(3) 集落が置かれた現代的状況:調査対象の集落は、1940年代に宗教的実践を重視する集落として形成、維持されてきたが、特に1991年以降のEPRDF政権のもとで、さまざまな変化を経験している。そのひとつとして、外国政府やNGOによる援助がある。同集落が位置する郡では、JICAが2003年から参加型森林管理計画プロジェクトを実施してきた。こうしたプロジェクトが、集落にどのような影響を与えたのかについても検討し、コラムとして発表した。