著者
長谷川 素子 吉田 沙蘭
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.77-85, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
16

【目的】意思疎通のとりづらい終末期がん患者に対する家族の関わり行動とその支援について,医療者と家族の視点から明らかにすることである.【方法】緩和ケアに従事する医療者15名と遺族5名に対して,患者に対して家族が行った関わり行動と医療者が提供した支援について,インタビュー調査を実施した.得られたデータをもとに内容分析を行った.【結果】患者に対する関わり行動は〈従来の患者に対する関わりの継続〉〈患者の安心・安楽への働きかけ〉など三つの大カテゴリーが抽出された.関わり行動に対する支援としては〈関わり方の提案〉〈関わりに対する家族へのフィードバック〉など九つの大カテゴリーが抽出された.【考察】家族に対する支援として,家族自身が関わり方を選択し実行できるよう医療者が働きかける内容が示された.具体的には,関わり方をわかりやすく提案する,家族にフィードバックをする等が挙げられた.
著者
塩﨑 麻里子 三條 真紀子 吉田 沙蘭 平井 啓 宮下 光令 森田 達也 恒藤 暁 志真 泰夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.753-760, 2017 (Released:2017-11-28)
参考文献数
28
被引用文献数
2

【目的】本研究の目的は,がん患者の家族が,終末期における治療中止の何に,どのような理由で後悔をしているか記述的に明らかにすることである.【方法】がん患者の遺族37名を対象に,意思決定当時と現在の2時点にかけての心理的プロセスに関する半構造化面接を行った.結果は,内容分析によって整理した.【結果】約40%の遺族に何らかの後悔についての発話がみられた.後悔の内容は,8カテゴリーに分類され,決定当時の4カテゴリーから,現在は7カテゴリーに多様化した.後悔に関連する理由は43カテゴリーに分類された.後悔がない理由は,患者や家族の要因や医療者との関係といった当時の状況に関するものが多かった.後悔がある理由は,意思決定のプロセスや選択肢,心理的対処といった意思決定の仕方と医療者との関係が多かった.【結論】後悔の性質と機能的な心理的対処の関連を理解することで,遺族の後悔制御方略を提案できる可能性が示唆された.