著者
根木 秀佳 吉田 紀生 廣田 俊 東 雅大
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.8-13, 2018 (Released:2018-03-23)
参考文献数
13

シトクロムcは,ミトコンドリア内の呼吸に関わる反応において電子を伝達する役割を担うヘムタンパク質である.シトクロムcは,互いのC末端ヘリックスを交換するドメインスワッピングにより多量体を形成し,電子伝達の機能を失うことが知られているが,多量体形成のメカニズムは未だはっきりしていない.この多量体形成メカニズムの解明を目指して,我々は分子動力学シミュレーションと液体の積分方程式理論を用いてシトクロムcの単量体と二量体の熱力学安定性の解析を行ってきた.本稿では,これまでの研究成果について紹介する.
著者
近藤 寛子 吉田 紀生 城田 松之
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.283-289, 2019-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
21

電位依存性カリウムチャネルは細胞膜の脱分極により活性化されカリウムイオンを選択的に透過する.C型不活性化はチャネルの不活性化機構の1種であり,脱分極状態が続くことにより引き起こされるが,その分子機構はわかっていない.そこで,脱分極直後にC型不活性化が起こるためにイオン透過が殆ど見られないKv1.2のW366F変異体を対象とし,分子動力学(MD)シミュレーションにより電場中での動態を解析した.本稿では,MDシミュレーションおよび3D-RISM理論による解析結果から電位依存的な不活性化の機構を考察する.
著者
根木 秀佳 吉田 紀生 廣田 俊 東 雅大
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.8-13, 2018

<p>シトクロム<i>c</i>は,ミトコンドリア内の呼吸に関わる反応において電子を伝達する役割を担うヘムタンパク質である.シトクロム<i>c</i>は,互いのC末端ヘリックスを交換するドメインスワッピングにより多量体を形成し,電子伝達の機能を失うことが知られているが,多量体形成のメカニズムは未だはっきりしていない.この多量体形成メカニズムの解明を目指して,我々は分子動力学シミュレーションと液体の積分方程式理論を用いてシトクロム<i>c</i>の単量体と二量体の熱力学安定性の解析を行ってきた.本稿では,これまでの研究成果について紹介する.</p>
著者
吉田 紀生 丸山 豊 PHONGPHANPHANEE Saree 清田 泰臣 平田 文男
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.222-225, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

Recent progress in the theory of molecular recognition in biomolecules is reviewed, which has been made based on the statistical mechanics of liquids or the 3D-RISM/RISM theory. The molecular recognition of a ligand by the protein is realized by the 3D-distribution functions: if one finds some conspicuous peaks in the distribution of a ligand inside protein, then the ligand is regarded as “recognized” by the protein. 3D-distribution functions can be obtained by means of 3D-RISM/RISM theory. Some biochemical processes are investigated, which are intimately related to the molecular recognition of small ligands such as water, ions, and carbon monoxide by a protein.