著者
矢本 香織 北河 徳彦 細川 崇 臼井 秀仁 望月 響子 武 浩志 新開 真人 浜之上 聡 後藤 裕明 吉田 美沙 田中 水緒 田中 祐吉
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.477-480, 2016 (Released:2017-03-18)
参考文献数
13

小児がんの治療成績向上に伴い,晩期合併症として二次がんの発生が問題となっている.今回小児固形腫瘍治療後に発生した二次性甲状腺癌の4例を経験したので報告する.一次がんはanaplastic sarcoma of the kidney・atypical teratoid/rhabdoid tumor・胸膜肺芽腫・卵黄嚢腫瘍であり,全例に手術・術後化学療法が施行された.2例に術後放射線照射が施行され,うち1例は頸部も照射野に含まれていた.二次性甲状腺癌の発生までの期間は中央値7年6ヵ月(4年4ヵ月~8年9ヵ月),組織型は乳頭癌が1例,濾胞癌が3例であった.二次性甲状腺癌の発生の原因として,放射線照射・化学療法・遺伝性素因等が挙げられる.高リスク群に対しては長期にわたって触診や超音波検査による甲状腺の観察が必要である.
著者
望月 浩志 大谷 優 大森 沙江子 吉田 美沙紀 渡辺 楓香 藤山 由紀子 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.73-79, 2018 (Released:2019-03-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】斜視や弱視で通院中の患児における三歳児健康診査(以下、三歳児健診)の判定状況を調査した。【対象および方法】斜視や弱視によりA病院に通院中の患児30名(男16名・女14名、年齢9.1±3.2歳)の保護者に、三歳児健診で眼科医療機関への受診(3次健診)を勧められたか、勧められなかった場合の眼科受診のきっかけについて聞き取り調査を行った。調査結果と患児の視機能の関係を検討した。【結果】30名中24名(80.0%)は三歳児健診で3次健診を勧められていなかった。勧められなかった24名のうち斜視は15名で、内訳は内斜視5名、外斜視2名、間欠性外斜視7名、上斜視1名であった。24名のうち弱視は13名(斜視と重複含む)で、内訳は屈折異常弱視4名、不同視弱視5名、斜視弱視4名であった。斜視15名の眼科受診のきっかけは、保護者の気づきや保育園や幼稚園教員の指摘11名、保育園や幼稚園、小学校での健診を含む3歳以降の健診4名であった。斜視弱視を除く弱視9名の受診のきっかけは、保育園や幼稚園教員の指摘2名、3歳以降の健診7名であった。【考按】所管する市町村によって携わる医療職や健診内容に差があるが、本調査では斜視や弱視を有する患児の80.0%は三歳児健診で3次健診を勧められていなかった。1次および2次健診の精度向上をめざし、屈折検査の導入などの視機能異常の検出方法の改善や視能訓練士などの眼科専門職の参加が必要であると考える。