著者
秋山 佳那子 田中 文子 阿部 礼 臼井 秀仁 新開 真人
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-45, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
10

Foreign body ingestion in small children is common. Because most foreign bodies pass innocuously through the gastrointestinal tract, it is not so often for them to require endoscopic removal or emergency surgery. We herein report a case in which emergency surgery was required after the ingestion of multiple magnets. A 1 year old boy was referred to our hospital for vomiting and drowsiness. An X-ray revealed 5 small magnetic balls in the right abdomen, in addition, CT revealed free air in the abdominal cavity. We diagnosed the patient with gastrointestinal perforation caused by the ingestion of multiple magnets and he was quickly transferred to the children’s hospital for surgery. During the operation, one magnet was found in the stomach in apposition to 4 magnets in the abdominal cavity. These 4 magnets had caused multiple perforations associated with pressure bowel necrosis in the intestine wall. In the present case, the boy had ingested neodymium magnets, which are small and powerful. Recently, the incidence of magnet-related injuries has increased with the spread of neodymium magnets. Because such magnets can be easily obtained, the restriction of their use and sale is desired, and appropriate education must be provided for people including health-care workers.
著者
望月 響子 新開 真人 中村 香織
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.377-382, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15

大型高性能リチウム電池の普及に伴い小児のボタン電池誤飲は危険性が増大している。当院におけるボタン電池誤飲例の治療経験をもとに小児のボタン電池誤飲の最近の治療成績と問題点を検討した。対象は1988年1月から2014年10月までに受診した124例とした。3歳以下が92%を占め,診断時の電池滞留部位は食道8%,胃65%,腸27%であった。食道内滞留例は嘔吐・食欲不振・発熱等の症状を有し,2時間以上滞留した例では全身麻酔下内視鏡摘出を要し,食道潰瘍形成を6例で認めた。胃内滞留例ではマグネットチューブによる摘出を原則とし,マグネット非接着例かつ小型電池例は自然排泄させ,大型電池例は内視鏡下に摘出した。小型電池で幽門部損傷により開腹摘出を要した乳児例もあった。小児ボタン電池誤飲では,食道内滞留例は食道壁潰瘍壊死の危険性から緊急摘出を要する。胃内滞留例も乳児や大型電池例では早急な対処が望ましい。
著者
畑田 智子 大浜 用克 新開 真人 武 浩志 北河 徳彦 工藤 博典 望月 響子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.915-919, 2010-10-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【目的】食道閉鎖症根治術後の吻合部狭窄に胃食道逆流症(GERD)を合併した場合,狭窄が増悪するために,拡張術による拡張効果が乏しいと言われている.食道閉鎖症根治術後にみられたGERD合併例とGERD非合併例の吻合部狭窄に対する治療方針について検討した.【方法】1974年から2006年8月までに当院で治療し,術後の追跡が可能な113例の中で術後に吻合部狭窄を合併した31例を対象に,GERD合併群と非合併群の2群に分け,吻合部狭窄に対する治療成績を比較検討した.【結果】吻合部狭窄例31例の内,GERD合併例は14例であり,GERD非合併例は17例であった.GERD合併群の上下食道断端距離(gap)は26.7±13.5mmであり,GERD非合併群は15.0±9.3mmで両群間に有意差を認めた.吻合部狭窄とGERDの合併群では14例中6例に吻合時に食道環状筋切開術(Livaditis)が付加された.吻合部狭窄に対しては拡張術を,GERDには制酸剤投与を行った.その結果GERD非合併群では平均2.4回の拡張術で吻合部狭窄症の症状が改善したのに対し,GERD合併群では平均7.3回の拡張術を行っても狭窄の改善がみられなかった.11例に噴門形成術を行い,3例には狭窄部切除を行った.噴門形成術後は8例が速やかに改善,3例はブジーを追加して改善した.狭窄部を切除した内の2例は間もなく噴門形成術を追加施行し,他1例はGERD症状が軽快したので経過観察とし,そのまま改善した.【結語】GERDを合併した吻合部狭窄に対しては,制酸剤の投与と拡張術だけでは狭窄に改善がみられないため,早期に噴門形成術を行うべきである.
著者
大澤 絵都子 北河 徳彦 新開 真人 望月 響子 町田 治郎 小林 眞司 馬場 直子 相田 典子 田中 祐吉 田中 水緒
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.906-913, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
21

【目的】Lipoblastomaの適切な診療方針について検討する.【方法】1981年4月から2019年3月の期間に当院で外科的切除を行い,病理組織学的にlipoblastomaと診断された51症例を対象とし,発生部位,症状,手術所見(被膜・癒着・浸潤・全摘の有無),再発の有無,術後合併症,再発腫瘍の病理所見について後方視的に検討した.【結果】発生部位は四肢と体幹に多く,無痛性の増大する腫瘍として気づかれるものがほとんどであった.体腔内に発生した症例は4例でうち3例は咳嗽や嘔吐など周囲臓器の圧排症状を呈した.2例に術後2か月と5年で再発がみられ,いずれも被膜不明瞭もしくは周囲に癒着がみられたが全摘された症例であった.不完全切除となった4例に再発はなかった.周囲の正常組織も含めて腫瘍を全摘した症例の中には術後瘢痕による機能障害を残した症例もあった.再発腫瘍の病理組織はいずれも初回手術時より分化が進んでいた.【結論】Lipoblastomaは局所再発のリスクがあるが,良性腫瘍であり,また経過とともに消失したり組織が分化する可能性もあるため,癒着や浸潤傾向の強い症例では,全摘に執着せず,術後機能障害を起こさない程度の切除に留めることも考慮してよいと考える.また,全摘の有無に関わらず術後長期間経過してから再発することもあるため,術後は最低5年以上の慎重な経過観察が必要である.
著者
矢本 香織 北河 徳彦 細川 崇 臼井 秀仁 望月 響子 武 浩志 新開 真人 浜之上 聡 後藤 裕明 吉田 美沙 田中 水緒 田中 祐吉
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.477-480, 2016 (Released:2017-03-18)
参考文献数
13

小児がんの治療成績向上に伴い,晩期合併症として二次がんの発生が問題となっている.今回小児固形腫瘍治療後に発生した二次性甲状腺癌の4例を経験したので報告する.一次がんはanaplastic sarcoma of the kidney・atypical teratoid/rhabdoid tumor・胸膜肺芽腫・卵黄嚢腫瘍であり,全例に手術・術後化学療法が施行された.2例に術後放射線照射が施行され,うち1例は頸部も照射野に含まれていた.二次性甲状腺癌の発生までの期間は中央値7年6ヵ月(4年4ヵ月~8年9ヵ月),組織型は乳頭癌が1例,濾胞癌が3例であった.二次性甲状腺癌の発生の原因として,放射線照射・化学療法・遺伝性素因等が挙げられる.高リスク群に対しては長期にわたって触診や超音波検査による甲状腺の観察が必要である.
著者
武 浩志 大浜 用克 新開 真人
出版者
東京医学社
雑誌
周産期医学 (ISSN:03869881)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.1233-1238, 2010-08
被引用文献数
1