- 著者
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永谷 直久
吉積将
杉本 麻樹
稲見 昌彦
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.4, pp.1372-1379, 2012-04-15
人が環境とインタラクションを行ううえで重要な要素の1つである自己運動感覚の提示のためには,視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)と前庭感覚提示を組み合わせた視覚前庭感覚提示システムの構築が必要である.人への前庭感覚の提示手法として,前庭感覚電気刺激(GVS: Galvanic Vestibular Stimulation)は小型軽量なシステムの構築が可能なため,体験環境に依存しにくい前庭感覚インタフェースとして利用可能である.本論文では,このGVSが主観的視野運動を生起することに着目し,交流波形(0.5-2.0Hz)を用いたGVSに起因する回旋性視野運動の計測手法を提案する.提案する計測手法は交流波形を用いたGVSにより生起される回旋性の主観的視野運動に対して,暗室内において顎台を用いて頭部を固定した被験者が,回旋運動を行う視標の位相と振幅を操作することで主観的静止状態になるように調整してもらい,このときの視標の回旋角度と位相のずれを主観的視野運動の回旋角度と刺激からの位相ずれとする手法である.被験者を用いた心理物理実験により,提案手法を用いて回旋角度および刺激からの位相ずれが定量的に測定できることを示した.