著者
福島 真太朗 本山 裕一 吉見 一慶
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2C12, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
9

近年,機械学習や深層学習を用いた逆合成の経路探索が活発になっている.本研究では比較的簡便なColey et al.の方法に着目する.この方法は目標とする生成物と反応データベースのマッチングを行い,生成物と反応物の類似度をそれぞれ計算し,その類似度に基づき一段階前の反応候補を出力する.Coley et al.の方法は既存の方法に比べて比較的高精度である一方で,探索空間は過去に生じた反応に限定される.本発表では以上の問題点に着目し,探索空間を広げるために敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network,GAN)を用いた手法を提案する.この手法は,探索空間を広げるためにGANに基づく反応物の生成モデルを学習し反応物を生成した後に,順方向の反応予測により反応式を生成する.その結果,既存の反応データベースには存在しない反応物が生成された.また,列挙した反応経路の中に正解が含まれるサンプルの割合は既存手法よりも高くなった.現在,探索空間が拡大されたことの検証も進めており,当日は詳細について発表する.