著者
大谷 直樹 吉野 篤緒
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.964-975, 2021-09-10

Point・減圧開頭術(DC)による転帰は内科的治療と比べて致死率は減少するが,機能予後は不変である.・重症頭部外傷で脳ヘルニア徴候や開頭術の適応がある症例,特に若年症例ではDCを施行してもよい.・DCを施行する場合には,大開頭による前頭側頭頭頂開頭(12×15 cm以上,あるいは直径15 cm以上)が勧められる.
著者
山本 隆充 深谷 親 吉野 篤緒 片山 容一
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.109-111, 2014-04-01 (Released:2015-05-22)
参考文献数
14

要旨 遷延性意識障害では,vegetative state (VS) とminimally conscious state (MCS) を明確に区別する必要がある.VS には視床CM-pf complex をターゲットとする脳深部刺激療法,MCS には上位頚髄刺激療法を用いてきた.視床CM-pf complex 刺激では,大脳皮質への広範投射系を賦活することにより,刺激開始直後から激しい覚醒反応と脳血流の増加を認める.また,5 Hz の上位頚髄刺激では上肢のmuscle twitch を誘発し,脳血流を増加させる.手術適応を決定するためには残存する脳機能を正確に評価する必要があり,神経学的評価と電気生理学的評価が有用である.VS は脳深部刺激療法によって植物状態から脱却してもベッド上生活であったが,上位脊髄刺激によってMCS から回復した症例では運動機能の回復も良好で,特に上肢の運動機能回復が著しかった.脊髄刺激によって繰り返しmuscle twitch を誘発することは,関節拘縮や筋の廃用性萎縮を予防するとともに,運動機能回復に有用であり,新たなニューロモデュレーション技術として期待される.