著者
坪川 孝志 山本 隆充
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.120-127, 1993-03-01
被引用文献数
1

The instrument of chronic deep brain stimulation consists of implantable electrode, implantable receiver and stimulator. There are two systems, one is radiofrequency transmitter stimulating system which has battery at out side of body and other is multiprogrammable totally implantable neurostimulator which include battery. As the radiofrequency transmitter stimulating system is popular in Japan, explanation of the equipment and clinical experienecs for chronic deep brain stimulation are reported in this paper.According to our experience of 71 cases, there is no problem about the instrument and no serious complication with chronic application of this instrument. Then it is thought as a accomplished instruments.In future, multielectrode stimulating system which is controlled by specific delay stimulation will be necessary. And also other type of stimulating electrode which has the function of local drug application may be important.
著者
山本 隆充 深谷 親 吉野 篤緒 片山 容一
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.109-111, 2014-04-01 (Released:2015-05-22)
参考文献数
14

要旨 遷延性意識障害では,vegetative state (VS) とminimally conscious state (MCS) を明確に区別する必要がある.VS には視床CM-pf complex をターゲットとする脳深部刺激療法,MCS には上位頚髄刺激療法を用いてきた.視床CM-pf complex 刺激では,大脳皮質への広範投射系を賦活することにより,刺激開始直後から激しい覚醒反応と脳血流の増加を認める.また,5 Hz の上位頚髄刺激では上肢のmuscle twitch を誘発し,脳血流を増加させる.手術適応を決定するためには残存する脳機能を正確に評価する必要があり,神経学的評価と電気生理学的評価が有用である.VS は脳深部刺激療法によって植物状態から脱却してもベッド上生活であったが,上位脊髄刺激によってMCS から回復した症例では運動機能の回復も良好で,特に上肢の運動機能回復が著しかった.脊髄刺激によって繰り返しmuscle twitch を誘発することは,関節拘縮や筋の廃用性萎縮を予防するとともに,運動機能回復に有用であり,新たなニューロモデュレーション技術として期待される.

1 0 0 0 OA Neuromodulation

著者
深谷 親 山本 隆充
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.137-142, 2016 (Released:2016-02-25)
参考文献数
20

機能的神経疾患の原因を考えるうえで皮質-線条体-視床-皮質ループ (CSTCループ) という概念が注目されている. 大脳皮質から大脳基底核, 視床に至る経路にそれぞれ運動, 認知, 情動に関する回路が近接して存在し, 連携して活動しているという考えである. このループの機能障害が関与していると考えられる疾患として, パーキンソン病, ジストニア, 強迫性障害, トゥレット症候群などが挙げられる. これらの疾患では, 運動, 認知, 情動のどの回路が主に障害されているかで疾病としての表現型も異なってくる. 脳深部刺激療法のターゲットは, CSTCループのいずれかの部位に設定されることが多い. したがって, 運動, 認知, 情動といった機能を個々に切り離して治療することは難しい. パーキンソン病に対する視床下核の刺激により情動面の変化が生じることがあるのはよく知られている. こうした現象は, 健常者においても気分のよいときには行動も快活になり, 気分が落ち込んでいる時は頭も働かなくなるといった経験からも理解できるであろう. CSTCループを基盤とした考えは, 脳深部刺激療法の理論背景となるだけではなく, 最前線の臨床の場でも役立つ可能性が高い. 運動には, 高い認知症予防効果やうつの改善効果があり, パーキンソン病の進行を遅らせることが知られている. また前向きで安定した情動は不随意運動を改善し, 運動療法が痛み認知を改善させることも報告されている.