著者
小泉 美緒 玉木 彰 永田 一真 名和 厳 富井 啓介
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.262-265, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
14

症例は73歳男性,特発性肺線維症に気胸を合併していた.公営住宅3階に独居で,ポータブルタイプの酸素濃縮器を使用し,同調式 3 L吸入下で歩行と階段昇降を行っていた.理学療法開始時には下肢筋力低下および運動耐容能の低下を認め,同調式吸入下での階段昇段時に低酸素血症と著しい呼吸困難,呼吸数増加を認めていた.3週間の介入によって下肢筋力,運動耐容能は改善したものの,同調式吸入下では階段昇降時の呼吸困難,低酸素血症は改善しなかったため,同調式から連続式に切り換え可能な呼吸同調器付きの酸素ボンベへ変更した.その結果,連続式吸入下で20段の階段昇段と1回の立位休憩で目標であった階段昇段40段を獲得し,本症例は自宅退院に至った.本症例のような階段昇段時に低酸素血症,呼吸困難,呼吸数増加を呈する患者に対しては,一時的に連続式を使用する指導の検討が必要と考えられた.
著者
田村 宏 名和 厳 清水 憲政 柳 良美 玉木 彰 兪 陽子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.80-85, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
11

【背景】高齢期の誤嚥性肺炎患者に対する呼吸管理において,排痰援助は効果的であるという報告は散見されるが排痰援助を主体に看護師と協働したものについては限定される.本研究では看護師の意識調査を基に排痰援助の共有化を図り,包括的アプローチの有用性を明らかにすることを目的とした.【方法】高齢期の誤嚥性肺炎患者を対象に通常の看護ケアを実施した群85名(対照群)と理学療法士より排痰援助の共有化を図り看護ケアに導入した群70名(介入群)の在院日数を比較検討した.また排痰援助の共有化を明らかにするため介入群の活動前後に病棟看護師に対して意識調査を実施した.【結果】在院日数は対照群に比して介入群の方が有意に短縮した.意識調査では介入群に有意な理解度の向上を認めた.【結論】高齢期の誤嚥性肺炎に対する排痰援助は看護師と協働して実践することで治療効果の向上が期待される重要な包括的アプローチであることが示唆された.