著者
鈴木 啓子 平上 久美子 鬼頭 和子 Suzuki Keiko Hirakami Kumiko Kito Kazuko 名桜大学人間健康学部看護学科 Faculty of Human Health Sciences Meio University
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.23, pp.53-62, 2014-03

本研究の目的は,統合失調症患者を対象としハンドマッサージを行い,主観的指標および客観的指標を用いてリラクセーション効果を明らかにすることである。対象者は,民間の精神科病院に長期入院をしている10名の統合失調症患者である。毎回のハンドマッサージ実施前後の脈拍,血圧,「心地よさ」の自己評価点について検討した。又,全ハンドマッサージの介入前後において総合評価尺度を用いて検討した。マッサージ中の対象者の言動については質的に検討した。その結果,リラクセーションの自己評価点については全対象者で有意に得点の上昇が確認され,脈拍については7名,血圧については5名で有意に低下していた。全対象者において,ハンドマッサージが心地よさをもたらす反応がみられ,また,対象者自らが自分の困りごとについて自発的に語りだす等の変化があり,看護師(研究者)と対象者の関係がより良いものになった。以上より,ハンドマッサージは統合失調症患者に効果があることが示唆された。The purpose of this study is to clarify the relaxation effect of hand-massage using both subjective and objective indexes for patients with schizophrenia. The subjects were 10 schizophrenia patients with long-term hospitalization in a private psychiatric hospital. A subjective evaluation survey was conducted on their having "good feelings," pulse rates were taken, and blood pressure was measured before and after each hand-massage. An overall evaluation was also used to examine the patients before and after all massage interventions. Moreover, the behavior of the subjects during the massage was studied qualitatively. The major findings of this study are as follows: (1) relaxation levels significantly increased after hand-massage in all subjects, (2) pulse rates significantly decreased after hand-massage in 7 subjects, (3) blood pressure significantly decreased after hand-massage in 5 subjects, (4) overall evaluation scale did not show significant differences. All subjects were observed to have "good feelings" while receiving hand-massage. They began to talk about feelings and worries voluntarily during hand-massage,and the relationship between the nurses (researchers) and subjects improved. The results suggest that hand-massage is effective on patients with schizophrenia.
著者
安仁屋 優子 佐久川 政吉 下地 幸子 あにや ゆうこ さくがわ まさよし しもじ ゆきこ Aniya Yuko Sakugawa Masayoshi Shimoji Yukiko 名桜大学人間健康学部看護学科
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.27, pp.107-115, 2018-03

本研究の目的は,文献から沖縄県離島・へき地の共同店が果たしてきた機能について明らかにし,共同店の機能を活かした未来の地域包括ケアシステム構築への応用可能性を考察することであった。 "共同店"などをキーワードに文献検索を実施。研究論文はCiNii,医中誌web版等,新聞・雑誌は沖縄タイムス・琉球新報のデータベース,MAGAZIN PLUS,沖縄県の市町村・字区誌,沖縄関連本は沖縄県立図書館データベースから検索した。文献から共同店が果たしてきた機能が記述されている内容を原文として抜き出し,カテゴリー化を図った。地域の中心に存在する共同店は,高齢者や住民同士・多世代間の「互助」を基盤に,小規模を活かした【多様な交流】が図りやすく,【柔軟な資金運用】や【地域資源の循環】の多機能を発揮しやすい環境にあった。また,日常・非日常の暮らしに必要な【生活情報の交換と発信】や【文化継承】の地域密着の機能を備えていた。さらに,【日常生活支援】に加えて,高齢者の生きがいづくりなどの【高齢者の介護予防】にまで広げ,「自助」を活性化させる可能性を秘めている。したがって,離島・へき地においては,共同店が果たしてきた小規模多機能地域密着型と自助・互助を基盤と捉え,これらの機能を活性化させることにより,地域包括ケアシステム構築への応用可能性はあると考える。
著者
安和 やよい 名城 一枝 嘉手苅 英子 あわ やよい なしろ かずえ かでかる えいこ Awa Yayoi Nashiro Kazue Kadekaru Eiko 名桜大学人間健康学部看護学科 名桜大学総合研究所 沖縄県立看護大学
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.27, pp.165-173, 2018-03

琉球列島米国民政府(United States Civil Administration of the Ryukyu Islands, USCAR)による直接占領下での、那覇高等学校衛生看護科で行われた准看護婦教育は、琉球政府文教局の主導で開始されたと報告されているが、衛生看護科に関するUSCARの認識を示す文書は確認されていない。沖縄県公文書館所蔵のUSCAR文書を検討した結果、USCARは衛生看護科設置直前の1966年3月の時点で、衛生看護科履修後の生徒の身分をnurses' aidsとし、そのカリキュラムは看護婦資格取得または看護実践のための正式な看護教育を受けることを前提としたprep-schoolであるとしていたことが分かった。
著者
金城 祥教 仲栄 真由香 Kinjo Yoshinori Nakaema Yuka 名桜大学人間健康学部看護学科
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.19, pp.165-171, 2014

文部科学省によると,看護系大学(看護師養成課程のある学部・学科を持つ4年制大学)はここ数年,年毎に10校以上のペースで増加し1991年度には11校だった看護系大学が2012年度には203校を数えるまでになっている。一方,短大や専門学校など大学以外の養成機関は減少傾向で,短大の看護学科(3年制)を募集停止して4年制大学に看護学部を開設するところも増えている。今後,少子高齢化,情報化,医療の高度化といった社会変化の中,病院や福祉,介護現場など看護職の需要がますます高まることは確実で,看護学部・学科の新設は来年度以降も続くと言われている。一方で,教員の教育力の向上や看護師の高離職率等を改善することや,豊かな心を持った専門性の高い看護師を育成することは,看護系大学の緊急かつ重要な共通課題となってきている。文部科学省の平成21年度「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」の公募にあたり,福岡県立大学が主幹となる『看護系大学から発信するケアリング・アイランド九州沖縄構想』が先見的広域連携の取組として評価を受けて採択された。3年間の本事業において取り組まれたプログラムを通して名桜大学における成果として一知見が得られたので報告する。
著者
金城 やす子 Kinjo Yasuko 名桜大学人間健康学部看護学科
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.19, pp.97-104, 2014

幼児の睡眠の実態を明らかにするため,保育園通園児の保護者を対象に質問紙調査を行った。3~5歳児の保護者1064名の回答を処理した。幼児の睡眠では21時までに就寝すると回答したものは3歳児で85名(25.9%), 4歳児108名(27.8%), 5歳児84名(30.1%)と約3割は適切な時間に就寝していた。また21時~22時の睡眠は各年齢ともに60%程度であり,約9割の幼児の就寝時間は適切な範囲にあると考えられる。睡眠潜時(就床から入眠までの時間)では平均23分,最小値は1分から最大120分の回答があった。睡眠と不定愁訴では「疲れた様子がある(からだがだるそう)」は起床時間,睡眠持続時間に有意な差がみられたが, 「朝の寝起きが悪い」 「気分にむらがある」 「落ち着きがない」 「保育園に行きたがらない」の4項目については,就寝時間が21時~22時の子どもとそれ以外の時間に就寝する子どもにおいて有意な差がみられた。また保護者の生活リズムに関する意識調査では約9割の保護者は規則的な生活が送れていると考えていた。保護者の意識と子どもの就寝時間との関連では21時までに就寝する子どもでは95%, 22時までは85%, 22時以降は43%が規則的な生活ができていると認識されていた。子どもの生活における睡眠行動としては,寝つきの良さ・目覚めの良さ・就寝時間が重要であることが示唆された。l conducted a questionnaire survey to the parents of nursery school children in order to reveal the actual conditions of the infants' sleep behaviors. I processed 1064 answers from parents who had three- to five-year-old children. Regarding the infants' sleep behaviors, 85 (25.9%) parents of the three-year-olds, 108 (27.8%) of the four-year-olds, and 84 (30.1%) of the five-year-olds replied that their children would go to bed by 21:00. The result shows that about 30% of the infants would go to bed at an appropriate time. Moreover, 60% of the infants of each age would go to bed between 21:00 and 22:00, which suggests that 90% of the infants sleep for a proper amount of time. The infants' average sleep latency was 23 minutes, minimum 1 minute and maximum 120 minutes. Concerning the infants' sleep behaviors and general malaise, there were five behaviors affected by the time the infants woke up and the duration they slept : "looking tired, "waking up in a bad mood, "having a mood swing, "being restless, and "not wanting to go to nursery school." There was a meaningful difference between the infants who would go to bed between 21:00 and 22:00 and those at different times. In the attitude survey on the parents' life rhythm, about 90% thought that they were leading a systematic life. Concerning the relationship between the parents' awareness and the time their children went to bed, 95% of the infants who go to bed by 21:00 were recognized as leading a systematic life, 85% by 22:00, and 43% after 22:00. This study suggests that the time when infants go to bed is the most important issue among infants' sleep behaviors and their life rhythm.