著者
安和 やよい 名城 一枝 嘉手苅 英子 あわ やよい なしろ かずえ かでかる えいこ Awa Yayoi Nashiro Kazue Kadekaru Eiko 名桜大学人間健康学部看護学科 名桜大学総合研究所 沖縄県立看護大学
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.27, pp.165-173, 2018-03

琉球列島米国民政府(United States Civil Administration of the Ryukyu Islands, USCAR)による直接占領下での、那覇高等学校衛生看護科で行われた准看護婦教育は、琉球政府文教局の主導で開始されたと報告されているが、衛生看護科に関するUSCARの認識を示す文書は確認されていない。沖縄県公文書館所蔵のUSCAR文書を検討した結果、USCARは衛生看護科設置直前の1966年3月の時点で、衛生看護科履修後の生徒の身分をnurses' aidsとし、そのカリキュラムは看護婦資格取得または看護実践のための正式な看護教育を受けることを前提としたprep-schoolであるとしていたことが分かった。
著者
新城 正紀 川南 勝彦 簑輪 眞澄 坂田 清美 永井 正規 Shinjo Masaki Kawaminami Katsuhiko Minowa Masumi Sakata Kiyomi Nagai Masaki 沖縄県立看護大学 国立保健医療科学院 和歌山県立医科大学 埼玉医科大学
出版者
厚生労働統計協会
雑誌
厚生の指標 (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.17-25, 2003-02
被引用文献数
1

目的:著者らは,全国レベルで難病患者個人の臨床情報,疫学・保健・福祉情報,予後情報を収集しデータベース化およびコーホート研究を行っている。今回は,1999年に実施したベースライン調査結果を基に,今後の保健福祉サービス(以下,公的サービス)の在り方について検討するため,公的サービス(ホームヘルパー,看護師,保健師)の利用状況,医療機関への受診状況,サービスおよび現在の生活への満足度,病気への受容度,今後必要とするサービスについて,疾患別および日常生活動作別に把握することを目的とした。方法:対象者は,全国の保健所のうち,本研究に調査協力可能であった35保健所管内における新規・継続の特定疾患医療受給者(1999年4月1日時点において受給資格を得ている者および,それ以降に受給資格を得る者)とした。調査項目は,基礎情報-特定疾患治療研究事業医療受給申請書,疫学・福祉情報調査,日常生活動作,公的サービスへのニーズおよびディマンド調査をもとに,公的サービス(ホームヘルパー,看護師,保健師)の利用状況,医療機関への受診状況,現在受けているサービスおよび現在の生活への満足度,今後必要とするサービス,病気への受容度とした。調査方法は,各協力保健所が調査対象とした難病患者に対して,新規・更新の申請時に調査項目に関する面接調査を行った。ただし,面接調査が不可能な場合にのみ郵送調査を行った。解析は,収集できた調査数の最も多かった6疾患(パーキンソン病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症,重症筋無力症,演癌性大腸炎,全身性エリテマトーデス)について,日常生活動作別に各調査項目の実態を明らかにすることとした。結果および考察:調査データが得られたのは30保健所(北海道から沖縄まで21都道府県)であり,回収率は57.7% (=2,059人:調査実施数/3,571人:調査予定者数)であった。そのうち,痩学・福祉情報調査,公的サービスへのニーズおよびディマンド調査への協力に同意しなかった者または回答拒否者496人(24.1%)を除いた全疾患の合計は1,563人(男:687人,女:876人)であった。このうち,解析対象とした6疾患の合計は1,211人(男:543人,女:668人)であった。疾患別に公的サービスの利用割合をみると筋萎縮性側索硬化症が最も高く,ついでパーキンソン病,脊髄小脳変性症,重症筋無力症,全身性エリテマトーデス,潰癌性大腸炎の順であり,疾患の重症度に応じた公的サービスが提供されていると推察できるが,疾患ごとに公的サービスのニーズやディマンドが異なると考えられるので,詳細な分析が必要である。特に,筋萎縮性側索硬化症では往診・入院の割合も高かったことから,公的サービスおよび医療によるケアを必要とする疾患であると思われる。6疾患を全体的にみると,2割~3割の者が現在の生活に「やや不満~不満」と回答しており,大半の者が普通以上の生活を営んでいると推察できる。6疾患とも今後必要とする公的サービスがあるとの回答があり,ホームヘルパー,デイサービス,ショートステイ,訪問歯科治療,難病相談会,難病患者の集い,訪問看護,訪問診療,医療機器の貸与,緊急通報システム,住宅改造,機能回復訓練の全ての項目で何らかの公的サービスの必要が選択され,その必要性が明らかとなった。結論:公的サービスは難病患者の生活の質の向上につながると考えられるが,本当に必要な患者に必要なサービスが提供されているか,必要なサービスは何かなど,疾患や日常生活動作,QOLなどの情報をもとに,画一的にならない一人一人に適したきめ細かい公的サービスの在り方を検討する必要があることが示唆された。
著者
山口 初代 大湾 明美 佐久川 政吉 田場 由紀 榮口 咲 大川 嶺子 糸数 仁美 坂東 瑠美 前泊 博美 Yamaguchi Hatsuyo Ohwan Akemi Sakugawa Masayoshi Taba Yuki Eiguchi Saki Okawa Mineko Itokazu Hitomi Bando Rumi Maedomari Hiromi 沖縄県立看護大学 いけま福祉支援センター
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.15, pp.43-51, 2014-03

[目的]男性高齢者の新たな介護予防の支援方法を見出すために、A島の民泊事業に参加している男性高齢者の当事者の誇りから"生きがい就労"の実態とニーズを把握することである。[方法]研究協力者は、A島の民泊事業に参加している男性高齢者4名である。方法は、民泊事業の就労内容と就労のニーズの語りから、キーセンテンスを抽出し、辻らの生きがい就労のコンセプトである[働きたいときに無理なく楽しく働ける]、[現役時代に培ってきた能力・経験が活かせる]、 [高齢者の就労が地域の課題解決の貢献につながる]に照らして帰納的に分析した。[結果]生きがい就労の実態は、辻らの生きがい就労のコンセプト[働きたいときに無理なく楽しく働ける]、 [現役時代に培ってきた能力・経験が活かせる]、[高齢者の就労が地域の課題解決の貢献につながる]を包含し、[共生の理解に貢献する]の新たなコンセプトが導かれた。生きがい就労のニーズは、民泊事業を《島の産業として組織的に取り組みたい》、《食事サービスの質を向上させたい》、《老い(身体機能)に合わせて民泊がしたい》であった。[結論]A島の民泊事業は、男性高齢者の生きがい就労につながっていた。生きがい就労のコンセプトに[共生の理解に貢献する]が加わっていた。男性高齢者は、地域の課題解決の主役としての役割が発揮できる存在であることを示唆していた。介護予防のために生きがい就労を推進するという新たな介護予防の支援方法が必要であると考えた。
著者
當山 冨士子 高原 美鈴 大城 真理子 田場 真由美 蟻塚 亮二 仲本 晴男 大宜見 恵 Toyama Fujiko Takahara Misuzu Oshiro Mariko Taba Mayumi Arizuka Ryouji Nakamoto Haruo Ogimi Megumi 沖縄県立看護大学 琉球大学保健学研究科 沖縄共同病院 沖縄県立総合精神保健福祉センター 今帰仁村役場 Okinawa Prefectural College of Nursing University of the Ryukyus Graduate School Okinawa Kyoudou Hospital Okinawa Prefectural General Mental Health Center Nakijin Town Office
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-12, 2013-03

【目的】戦闘が行われた沖縄本島とその周辺離島村を含む町村に在住する沖縄戦体験者の精神保健、特に戦争トラウマの現状について把握する。【方法】〈研究デザイン〉量的研究。〈調査期間〉平成24年4月~同年7月。〈対象〉戦闘が行われた沖縄本島の4町村(南部1、中部1、北部2)および沖縄本島周辺離島の2村(南部1、北部1)を含む6町村在住者で、当該町村の介護予防事業に参加していた沖縄戦体験者で、75歳以上の者。〈調査に使用した尺度および質問紙〉1)WHO-5(World Health Organization Mental Health Well Being Index-five items:精神的健康状態表)。2) IES-R(Impact of Event Scale-Revised)改訂 出来事インパクト尺度日本語版によるトラウマの程度を測定。3)沖縄戦に関する質問紙を使用した。【結果】収集したデータ303のうちIES-Rに欠損値がない257を解析対象とした。性別では女218(84.8%)、男39(15.2%)で、平均年齢は82.5歳。WHO-5の平均得点は21.6(±4.2)。IES-Rの平均得点は23.2(±16.1)で、PTSDハイリスク者とされる25点以上が106(41.2%)あった。「沖縄戦を思い出すきっかけ」では、「戦争に関する映像・新聞記事」が208(80.9%)であった。IES-R得点と関連があったのは、「戦争を思い出す頻度」「誰かが危険な目に遭うのを目撃した」「当時の年齢で14歳以上と14歳未満」であった。【結論】今回の対象は、PTSDハイリスク者が4割いたにも関わらず、精神的健康状態は良好であった。その理由として、沖縄戦体験者はレジリエンスがあり、沖縄には"ユイ"という相互扶助の精神があり、地域の共同体との繋がりがあったからだと推察される。また、PTSDハイリスク者が4割もいたことから、沖縄戦体験高齢者の介護や看護を行う際には、沖縄戦によるトラウマやPTSDを意識し関わることが必要だと考える。
著者
Beverly HENRY UEDA Reiko ビバリー ヘンリー 上田 礼子 Okinawa Prefectural College of Nursing 沖縄県立看護大学
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 = Journal of Okinawa Prefectural College of Nursing (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.7, pp.30-33, 2006-03

Program evaluation provides direction for future scientific programs and new innovations in existing programs. Scientific program evaluation at four levels such as (1) evaluating reaction, satisfaction (2)evaluation learning (3)evaluating behavior (4)evaluating results was proposed. Then, authors concluded as following. Program evaluation provides direction for future programs and new innovations in existing programs. An aim is to provide findings about a program which can be generalized to other contexts and periods of time. Achieving a degree of generalizablity requires scientific research design and methodologically sound instrumentation. In nursing, program evaluation should bridge the gap between nursing education and nursing services. Effective teachers and nurses in hospitals and communities work together cooperatively to encourage learning, behaviors, and results -- with new strands of opinion -- that meet health needs and solve people's health problems. Having valid data about nurses' competence, their performance, and the effect of these on the nursing services is essential for sound health development. Scientific program evaluation contributes greatly to making sound decisions about programs and their contribution. Program evaluation involves rethinking everything from the program's learning model and curriculum, to the production of professional nurses and their proper performance in the health services for health development.これからの科学的プログラム評価の方向および現在あるプログラムの刷新について述べた。科学的プログラム評価の4つのレベルとして-(1)反応、満足の評価、(2)学習の評価、(3)行動の評価、(4)結果の評価を提示した。その上で、著者らは次のような結論に達した。看護のプログラム評価は看護教育と看護サービスの溝に橋を架けるものである。看護師のコンピテンシー、パフォーマンス、そして健康サービスの有効性へのそれらの影響に関する有用なデータを所持することは高度に機能する健康システムの基本である。プログラム評価の研究は個人の目標や費用によって位置付けに高低があるかもしれない。有能な教員と病院・地域の看護職者が、新しい意見をもち、人々の健康上のニーズに出会い、健康問題を解決する学習、行動、結果を促進するために協力し合って共に働くことである。科学的プログラム評価は、プログラムについての健全な意思決定および地域的、国家的、国際的に高度に機能するヘルスシステムへのプログラム創出に大きく貢献するものである。