著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-20, 2019 (Released:2019-03-07)

筆者はアジア地域研究連携機構研究紀要の第1 号(2015 年6 月)に「秋田犬の国際化戦略」、同3 号(2016 年8 月)に「秋田犬ブランドの活用策」、同6 号(2018 年1 月)に「秋田犬の国際的人気をどう活用するか」と題して、秋田犬が世界的に人気を集めていること、海外の人気が国内にブーメラン効果をもたらしていることを紹介した。その後の2018 年5 月、平昌冬季五輪の女子フィギュアスケート金メダリスト、アリーナ・ザギトワさん(ロシア)への秋田犬保存会による秋田犬贈呈が大きな話題になり、秋田犬人気を爆発的に高めた。秋田県や大館市は秋田犬をキラーコンテンツとして観光客誘致戦略を展開しており、内外からの県への訪問者も増加、秋田犬グッズの売り上げも伸びた。秋田犬の聖地を売り物にする大館市が2019 年5 月にJR大館駅前にオープンする観光交流施設「秋田犬の里」のプロジェクトをどう成功させるかが次の課題となるが、問題点も少なくない。過去1、2 年で空前ともいえるほど拡大した内外の秋田犬人気や、県と大館市の取り組みを分析した。
著者
名越 健郎
出版者
国際教養大学
雑誌
国際教養大学アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-49, 2015-06-30

現在の日本はペットブームで、ペットフード協会(東京都千代田区)の調査によれば、2014年に家庭で飼われる飼育頭数は猫が約995万匹、犬が1034万匹という。秋田犬の名称が県名と合致する本県は、秋田犬の「聖地」であることを売り込むことで、県の知名度や存在感を高め、観光誘致に利用することができる。秋田犬は将来、再び絶滅の危機を迎えかねないことから、純粋犬種の保護に向け、ブリーダー機能を強化することも求められよう。本稿では、日本の歴史に重要な足跡を残した秋田犬の歴史と、国内と海外の秋田犬普及状況を紹介しながら、ビジネスにも利用できる秋田犬活用法を提言する。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-23, 2020

筆者はアジア地域研究連携機構紀要の第1 号、第3 号、第6 号、第8 号で、秋田犬の世界的人気や秋田犬を観光戦略に活用する県内の取り組み、今後の課題等について論考を執筆した。秋田県と大館市は秋田犬を「県観光のキラー・コンテンツ」(佐竹敬久知事)と位置づけて重視しており、2019 年5 月、JR大館駅前に観光交流施設「秋田犬の里」がオープンし、県北の新しい観光名所となった。初年度の評価は上々だが、リピーターを確保し、秋田犬の聖地とするにはなお課題がありそうだ。秋田犬の国際的人気とは裏腹に、大館市の秋田犬保存会本部に登録する犬籍登録が海外で減少していることも気になる。本稿では、「秋田犬の里」プロジェクトを中心に、近年の秋田犬人気や経済効果、県・市の取り組みを分析する。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-21, 2016 (Released:2018-09-27)

筆者はアジア地域研究連携機構研究紀要の第1号に「秋田犬の国際化戦略」と題して秋田犬が世界的に人気を集めていることを紹介したが、その後秋田犬は「高貴な犬」として各国で人気がさらに高まっている。海外の人気が国内にブーメラン効果で還流する動きもあり、秋田県大館市は福原市長の下、秋田犬利用プロジェクト「ハチ公の駅」を設置し、観光の目玉にする構想を進めている。国際教養大でも4月、秋田犬ブランドの活用法をめぐり読売新聞主催のシンポジウムが行われた。秋田犬は秋田が独占可能な唯一のブランドでもあり、官民一体で秋田犬人気の相乗効果を狙うべきだ。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-36, 2018 (Released:2018-09-27)

筆者はアジア地域研究連携機構研究紀要の第1 号(2015 年6 月)に、「秋田犬の国際化戦略」、同3 号(2016 年8 月)に「秋田犬ブランドの活用策」と題して、秋田犬が世界的に人気を集めていることを指摘。海外の人気が国内にブーメラン効果で還流する動きがあることを紹介した。秋田県と大館市はこうした動きに注目し、いよいよ「秋田犬の里」として秋田と大館を売り込む観光戦略に着手した。目玉となるのは、JR 大館駅前に2019 年春完成する「ハチ公駅」であり、秋田犬数頭が常駐し、小型テーマパークの役割を担うことになる。本稿では、秋田犬人気がこの1 ~ 2 年に世界でさらに広がっていることや、県と大館市の観光誘致や広報に向けた秋田犬戦略、秋田犬保存会の新たな取り組みを分析。その課題を探るとともに、いくつかの提言を行う。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.53-62, 2021

国際教養大学(AIU)を創設した中嶋嶺雄初代学長兼理事長(1936 - 2013)は、中国問題の権威として論壇で活躍し、晩年はAIUでのグローバル教育の成功で大学革命を起こした立役者として知られる。しかし、中嶋が長年の膨大な著作や評論活動で、日本外交を舌鋒鋭く批判していたことは、若い世代にはあまり知られていない。中嶋は中国に下手に出て浮薄な友好を煽る日本外交を「位負け外交」と称し、いずれ中国を高飛車にさせ、日中関係を悪化させると警告した。ロシアに対してはゴルバチョフ時代から北方領土問題解決の好機が到来したとして、日本も譲歩しながら早期に決着させるよう主張したが、日本外務省は千載一遇のチャンスを生かせなかった。今日、経済成長を遂げた中国は、日本への圧力を強め、尖閣諸島を力で奪いかねない展開となってきた。北方領土問題ではプーチン政権が強硬外交を貫き、安倍晋三首相が力を注いだ平和条約交渉もあえなく吹き飛んだ。本稿では、中嶋の外務省批判を紹介しながら、日本の対中、対露外交失敗の経緯を探った。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-43, 2016-03-31 (Released:2018-04-27)

ロシア政府は2015年夏、北方領土問題で対日強硬姿勢を強め、15年で期限切れとなるクリール社会経済発展計画をさらに25年まで延長することを決めた。ロシアは西のクリミア半島と同様、北方領土の実効支配を強め、民族愛国主義高揚の手段に利用しているかにみえる。北方領土の情報収集は、短期間のビザなし渡航では難しく、国後、択捉両島で発行されている地元紙を読むのがデータ入手に有効な手段だ。四島は漁業、水産加工など開発潜在力は高いものの、自然環境、投資環境とも過酷で、開発の難易度が高い。ロシアは軍事目的もあって四島開発を重視しているが、汚職・腐敗も深刻で、住民の生活は厳しい。劣悪だった生活環境は政府の開発計画で改善されているものの、しょせんは公共投資による人工のミニバブルであり、公共投資が終了すると、島の経済は再び破たんしそうだ。地理的に近く、水産技術が高く、離島開発の経験豊富な日本にしか島の開発はできないだろう。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.11-20, 2019

筆者はアジア地域研究連携機構研究紀要の第1 号(2015 年6 月)に「秋田犬の国際化戦略」、同3 号(2016 年8 月)に「秋田犬ブランドの活用策」、同6 号(2018 年1 月)に「秋田犬の国際的人気をどう活用するか」と題して、秋田犬が世界的に人気を集めていること、海外の人気が国内にブーメラン効果をもたらしていることを紹介した。その後の2018 年5 月、平昌冬季五輪の女子フィギュアスケート金メダリスト、アリーナ・ザギトワさん(ロシア)への秋田犬保存会による秋田犬贈呈が大きな話題になり、秋田犬人気を爆発的に高めた。秋田県や大館市は秋田犬をキラーコンテンツとして観光客誘致戦略を展開しており、内外からの県への訪問者も増加、秋田犬グッズの売り上げも伸びた。秋田犬の聖地を売り物にする大館市が2019 年5 月にJR大館駅前にオープンする観光交流施設「秋田犬の里」のプロジェクトをどう成功させるかが次の課題となるが、問題点も少なくない。過去1、2 年で空前ともいえるほど拡大した内外の秋田犬人気や、県と大館市の取り組みを分析した。
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-43, 2016

ロシア政府は2015年夏、北方領土問題で対日強硬姿勢を強め、15年で期限切れとなるクリール社会経済発展計画をさらに25年まで延長することを決めた。ロシアは西のクリミア半島と同様、北方領土の実効支配を強め、民族愛国主義高揚の手段に利用しているかにみえる。北方領土の情報収集は、短期間のビザなし渡航では難しく、国後、択捉両島で発行されている地元紙を読むのがデータ入手に有効な手段だ。四島は漁業、水産加工など開発潜在力は高いものの、自然環境、投資環境とも過酷で、開発の難易度が高い。ロシアは軍事目的もあって四島開発を重視しているが、汚職・腐敗も深刻で、住民の生活は厳しい。劣悪だった生活環境は政府の開発計画で改善されているものの、しょせんは公共投資による人工のミニバブルであり、公共投資が終了すると、島の経済は再び破たんしそうだ。地理的に近く、水産技術が高く、離島開発の経験豊富な日本にしか島の開発はできないだろう。