著者
名越 健郎
出版者
国際教養大学
雑誌
国際教養大学アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
no.1, pp.37-49, 2015-06-30

現在の日本はペットブームで、ペットフード協会(東京都千代田区)の調査によれば、2014年に家庭で飼われる飼育頭数は猫が約995万匹、犬が1034万匹という。秋田犬の名称が県名と合致する本県は、秋田犬の「聖地」であることを売り込むことで、県の知名度や存在感を高め、観光誘致に利用することができる。秋田犬は将来、再び絶滅の危機を迎えかねないことから、純粋犬種の保護に向け、ブリーダー機能を強化することも求められよう。本稿では、日本の歴史に重要な足跡を残した秋田犬の歴史と、国内と海外の秋田犬普及状況を紹介しながら、ビジネスにも利用できる秋田犬活用法を提言する。
著者
竹村 豊
出版者
国際教養大学
雑誌
国際教養大学アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
no.1, pp.97-105, 2015-06-30

第二次世界大戦終結70周年の年にウクライナ問題の先鋭化は欧州における戦後処理(ヤルタ体制)、東西冷戦、ベルリンの壁撤去、ソ連邦の崩壊、EU/NATOの拡大と続く個々の出来事に内包された諸問題に因って引き起こされたものである。ウクライナ・ポロシェンコ政権を支持する米国、EUと対立するプーチン政権は欧米のみならずオーストラリア、日本からも経済制裁を受け、日増しにロシアが世界経済から孤立しているにも関わらず、プーチン大統領の支持率は80%を超えている。元々、ソ連時代からロシアは政経一体型の経済運営であるが、クリミア・ウクライナ問題に絡む一連の高い代償を払いながら強引に自らの政策を進めようとするのは、プーチン大統領の経済政策のルーツがオリガルヒ(新興財閥)との戦いであり、この戦いを通じて今日「国家資本主義」と言われる経済運営が形成されたのである。今後のロシアの資源・エネルギーを中心とする対東アジア経済政策をみる上で経済原則に依らない政治的、戦略的な意図を見ておかなければならない。
著者
柴田 澄雄
出版者
国際教養大学
雑誌
国際教養大学アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
no.1, pp.27-35, 2015-06-30

2001年10月に運航が始まった秋田=ソウル間の定期便(大韓航空)は利用者数の低迷が続いている。当該便はビジネスニーズでの利用が少なく、路線維持が観光ニーズに依存している。秋田からの外国旅行者数が長期的な減少傾向にある中で韓国への旅行者数の増加に大きく期待することは困難であり、人口規模の大きなソウル特別市や仁川広域市から、いかにして秋田県への訪問者数を増やすかが路線維持の可否を左右することになる。本稿では、近年の訪日韓国人観光客数の推移と、その中で本県を訪問する韓国人観光客数の推移を検討した上で、本県への韓国人観光客の誘致にいかなる方策があるかを論じ、さらに、2015年1月から3月にかけて、国際教養大学および韓国の中央大学校との間で実施した課題解決型学修プログラムにおいて、学生たちが秋田とソウルの観光・物産販売等の促進について論じた内容を紹介する。