著者
向井 周平 河﨑 公 佐藤 あかね 佐藤 洋平 加藤 肇 村上 高志
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.e5-e10, 2023 (Released:2023-01-31)
参考文献数
13

子宮広間膜により腹壁背部から吊り下げられている牛の子宮には,捻転が生じても正常な位置へ戻る力が働いている.押し込み保持法は,その元に戻る力を引き出すように,子宮を押し込み続けて子宮捻転を整復するという新しい概念に基づく用手整復方法である.本法では,① 回転ではなく押し込む力を加えること ② 押し込み続けること ③ 胎子ではなく子宮に力を加えることの3点が重要となる.本法の適応は,分娩時に発症し産道に手を挿入可能な症例であり,整復開始時に胎子を産道から触知できない症例も含まれた.未破水の症例では人工破水を行う必要はなかった.6年間で子宮捻転の35例に本法を適応し,27例の整復に成功し胎子生存率は70%であった.本法は,従来法と比べ,短時間で省力的に整復でき,適応症例の範囲も広く,子宮捻転の用手整復率向上に寄与すると考えられる.
著者
高木 光博 向井 周平 伏見 康生 松下 幸平 三好 宣彰 安田 宣紘 北島 秀生 高牟礼 千郎 松下 俊彦 北村 延夫 出口 栄三郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1281-1286, 2007-12-25

慢性鼓脹症状を呈する11か月齢黒毛和種牛の臨床,病理学的な検索を行った.同一飼料給与下の同月齢正常牛と比較して,飼料摂取量,排泄量は同等であったが,本牛の糞中には未消化な長い繊維が多く含まれていた.第1胃,2胃および4胃に肉眼的著変は無く,第3胃葉の重度形成不全と未発達な第2胃溝を認めた.第3胃乳頭部の組織構築に異常はみられなかった.牛の第3胃葉形成不全は鼓脹症の原因となる可能性が示された.