著者
向居 彰夫 岡本 昌三
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-21, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
4

MARDEN(1954)の報告に基き電極(直径4.7cm,長さ33cmの木製円柱の周囲に幅0.85cm,長さ27.5cmの4枚の銅板を90°の間隔ではめ込み,相対する銅板を同極となるよう接続する)及びパルス発生装置(パルスの周波数及び電圧を0~70c/s,0~10Vの連続可変とした最大出力約7W,インピーダンス6~10Ω)を作り25~30c/sの電流を用いて2秒通電,1秒切断を反復しながら電圧を0.7V程度から牛体の反応に応じて徐々に上昇させると,0.7~3.2Vでペニスが勃起し,3.9~6.4Vで射精が開始され,更に数回の反復刺戟によつて良好な精液を得ることに成功した。
著者
岡本 昌三 石井 尚一 向居 彰夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.22-24, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

1)ジャージー種牡牛2頭を人工気候室(室温昼間32°C,夜間30°C,湿度55~60%)内に5週間収容して,うち1頭の陰嚢を流水をもつて冷却し,他の1頭は対照として無処置とし,その間の精液性状の変化を調べた。2)精液量は漸増し,精子濃度及び1射精当り総精子数は漸減して,特に第4~5週において著明な減少が認められ,この傾向には両区間に差が認められなかつた。3)活力,異常精子率及び精子生存日数については,対照区では著しく悪化し,精子の運動力を示すものなく,異常精子率は約90%にまで及んだが,冷却区ではほとんど変化が認められなかつた。4)以上の結果から造精機能の保持に対する陰嚢冷却の効果は期待されないが,精子の成熟過程における高温の有害作用はおおむね防除し得ると考えられる。
著者
柴田 正貴 向居 彰夫 武田 功 荒 智 相井 孝充
出版者
日本家畜管理研究会(現 日本家畜管理学会)
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.48-57, 1982-08-28 (Released:2017-10-03)
被引用文献数
1

夏期の高温が乳量および乳成分率に及ぼす影響と牛舎冷房の効果を明らかにするために, 延べ20頭の泌乳牛を用いて1974年から3年間にわたり3回の試験を行った。その結果, 次のような知見を得た。1)日中の最高気温が30℃を越える7月後半から8月後半におけて, 放飼群(N群)の体温は39.5℃を, また呼吸数は85回/分を越えた。しかし, 冷房群(A群)では常に体温は38.6℃程度, 呼吸数は40回/分前後であり, 牛舎冷房による効果が認められた。2)体重にあたり乾物摂取量は, 試験IではN群の方が多く, 試験IIでは両群間に著差が認められなかった。N群の摂取量は運動場における測定であるためやや過大に評価される傾向にあったものの, 飼料摂取量に明らかな冷房効果が認められなかったことは, 舎飼いによる長時間の係留・拘束の影響も無視できないものと思われた。3)N群の乳量減少率は, 試験I, IIにおいて7月後半には20%を越え, 9月に至っても回復を示さなかった。6月後半から9月前半の間における減少率では年次間に差が認められたものの, 通常の夏であれば17〜20%を示すことが明らかにされ, また, この時期に泌乳最盛期をむかえるような高乳量のものでは更に大幅な減少を示すことが推察された。4)乳脂率などの乳成分率も6月後半から8月前半にかけて低い値を示す傾向にあり, 特にSNF率では「乳等省令」で定められた規格を下回る値を示しており, 乳成分生産の面でも夏期の高温が悪影響を及ぼしていることが示唆された。5)牛舎冷房によって日中の牛舎内温度を24℃以下に保った場合は, 夏期の高温に起因する乳量減少を防止しうることが明らかになった。