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著者
木坂 正史 國府 寛司 斎藤 恭司
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.432-438, 1998-10-29 (Released:2008-12-25)
参考文献数
11
著者
國府 寛司 大林 一平
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.68-77, 2015-06-05 (Released:2015-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

時間と共に変化する現象の多くは,非線型力学系として捉えられ,それを数理的に良く理解することで,現象の予測や制御が可能になる.しかし現実の現象のダイナミクスは,その非線型性や規模の大きさのために数学的解析が困難であり,数値シミュレーションも容易でないことが多い.また,物理的現象のように,その現象を理解するための法則が第一原理として与えられる場合を除けば,現象を数理的に記述する絶対的な基本法則が存在せず,異なる観点から複数の数理モデルが導かれる場合には,現象のダイナミクスの本質をそれらの数理モデルからどのように理解すれば良いかも必ずしも明らかではない.本論説では,非線型現象のダイナミクスの相空間の大域的構造の最も粗い情報に着目して,その現象を表現する数理モデルに過度に依存しない形で抽出することで,複数の数理モデルを貫く現象のダイナミクスの本質を見出そうとする試みを,筆者らの最近の研究に基づき,技術的細部は大胆に省略して,その考え方の骨格を紹介したい.
著者
國府 寛司
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究では3次元ベクトル場におけるホモクリニック軌道の分岐によるカオスの出現の検証について以下のような成果を得た。(1)余次元2のホモクリニック軌道からのカオスの発生の数学的証明:inclination-flip型ホモクリニック軌道については[Homburg-Kokubu-Krupa]の論文で解決され、orbit-flip型ホモクリニック軌道については現在準備中の論文で解決された。これらは共に余次元2のホモクリニック軌道に沿ったポアンカレ写像を構成し、それがSmaleの馬蹄型写像を含むことを示すことによって証明された。またこの結果の副産物として、ある種のベクトル場の退化特異点の開折に幾何的Lorenzアトラクタが存在することがinclination-flip型ホモクリニック軌道の解析によって証明できた。これは論文[Dumortier-Kokubu-Oka]にまとめられた。(2)ホモクリニック軌道の分岐の計算機を用いた研究:小室、岡との共同研究で区分線型ベクトル場におけるorbit-flip型ホモクリニック軌道の大域的な分岐を計算機を用いて精密に解析した。これによりある条件の下ではorbit-flip型ホモクリニック軌道からは従来の研究によって知られていたものよりもはるかに複雑な分岐が見られることが示された。この結果は現在準備中の論文に発表される予定である。一方、3次元で余次元3の退化特異点の標準形を与える常微分方程式の族における分岐の解析も行った。特にAUTOと呼ばれる分岐解析のために開発されたプログラムを用いて、ホモクリニック軌道の存在する分岐曲線を2次元パラメータ平面内で追跡し、その大域的構造についての興味深い現象を発見した。これは今後の研究の重要な課題となるであろう。この研究は西山、岡との共同研究で現在論文を準備中である。