著者
國本 景亀
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.35-43, 1998-09-30
被引用文献数
1

一般に,数学は絶対確実な基礎の上に築かれており,人間の経験から構成されるのではないと思われている。本稿では,そのような数学観を歴史的に反省し,その誤りを指摘するとともに,新しい数学の哲学(準経験主義)の台頭と特徴を考察し,準経験主義にもとづく証明指導の方法論を提案した。準経験主義に基づく証明指導として,(1)数学の力動的成長過程の中に証明活動を位置付けること(2)社会的活動として証明活動を捉えること(3)証明の発見的機能,説明的機能そしてコミュニケーション機能を一層重視することを提案した。
著者
國本 景亀 山本 信也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度から平成17年度までの3年間の研究の総括は次のとおりである。(1)全体論的数学教育の数学観、子ども観、学習観、教授観などを明らかにしいくつかの教授原理を解明した。「全体性の原理」、「内容や関係豊かな学習の原理」、「活動的・社会的学習の原理」、「漸進的数学化の原理」、「科学論的見方の原理」、「歴史性(数学史)の原理」などである。これからの数学教育はオープンな精神で行われるべきである。特に、子ども達に本質的な数学的現象に出合わせるべきである。(國本)(2)ワークショップを2回行う。熊本大学教育学部において、2回のワークショップを行った。参加者は2004年は58名で、2005年は43名であった。(山本)(3)ビットマン氏らの著書『算数・数学 授業改善から教育改革へ("Jenseits von PISA : Bildungsreform als Unterrichtsreform")』を翻訳した。(國本、山本)(4)現場との連携(小学校での授業を3年間で約20回行った)高知県南国市の2つの小学校と連携し、学生の教師養成と現場教師の再教育に携わった。連携した学校の1つが高知県の学校表彰(算数科)を受けた(平成17年度)。(國本)(6)『数の本』(1〜4学年)を翻訳し、各都道府県の教育長へ謹呈した。そのため平成17年度の予算の内インク代にかなりの経費がかかった。(國本)(7)イギリスの数学教育雑誌"Mathematics Teaching"に「数の石垣」の実践報告が掲載された。(藤田)