著者
中西 幸子 中尾 修一 圓谷 徹彦 中川 和寿 西川 征洋 橋口 隆志 藪内 健三 細田 瑳一 田村 光司 石塚 尚子 笠貫 宏 中村 憲司
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.195-206, 1995-12-15
被引用文献数
16

過去16年間に東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所で,心臓カテーテル検査を行って拡張型心筋症と診断された172例(男139例,女33例,平均年齢50±14歳)について,日本全会社生命表(1984〜'85)死亡率および昭和62年年齢別予定疾病入院率・予定手術率を用いて,死亡指数・入院給付指数・手術給付指数を算出した。観察期間は平均4.1±3.3年(最長15.3年)であった。実死亡数は90例で,その死因は,うっ血性心不全が47名(52%),突然死が35名(39%)であった。累積生存率は,5年生存率50±11%(累積生存率±99%信頼区間),10年生存率28±13%,全期間を通じた死亡指数(99%信頼区間)は1701(1239〜2163),入院給付指数は153(117〜189),手術給付指数は159(97〜245)であった。死亡指数は謝絶契約相当の高い値を示し,保険契約をお引受けできないものと考えられた。経過年度別死亡指数では,各年度の死亡指数間に有意差は認められず,いわゆる恒常性の危険に近いものと考えられた。診断年齢別死亡指数では,若年者群と高齢者群との間に有意差(p<0.0001)を認め,若年発症の群ほど予後不良であると考えられた。心臓カテーテル検査(EF・EDVI・PA・CI)データ別死亡指数では,心機能不良群の死亡指数は有意に高かったが,死亡指数が1万を越えるような飛び抜けて高い群は存在しなかった。リビング・ニーズ特約と関係の深い余命6か月判定では,心臓カテーテル検査の数値データによる判定でも難しいものと考えられた。
著者
圓谷 徹彦 佐々木 光信 小原 甲一郎
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.186-195, 1992-12-15
被引用文献数
2

1980年から1988年の契約年度に標準体として契約した男性について保険年度1年から5年までを調査対象として選択区分別保険年度別死亡指数をみると,面接士扱の場合,保険年度1年度の選択効果が他の選択区分に比べて不良で,2・3・4年度も良好ではない。さらに災害死と自殺を除いた保険年度別疾病死亡指数をみると,到達年齢で30歳代までは選択効果がみられるが,40歳代においては,選択効果が認められない。面接士の選択効果の補強を体格データの面から行うため,診査医扱の体格データと他の体況データ(血圧・尿糖)の異常出現率の関係について年齢訂正Odds比の算出により分析した。その結果,BMIが25以上になると有意に体況異常の出現率が増加することがわかった。従って面接士の体格基準を他の選択区分と一率に運用することには問題があるとの結論に至った。肥満群では,再診査による体況の確認を行う必要性があると思われた。