著者
高橋 智彦 金廣 琴乃 土屋 智史 石田 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.22-00365, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
21

本研究は,腐食環境にある既設構造物を対象として,今後の合理的な構造物の運用と維持管理を支援する解析的検討について取りまとめたものである.具体的には,供用開始から35年以上が経過した桟橋上部工を対象に,材料と構造を連成したマルチスケール統合解析を適用して,建設時からの塩害劣化進行を評価した.その際,過去に実施した劣化調査に加え,薄板モルタルによる飛来塩化物イオン量と構造物周辺の気象計測を追加実施して,概ね等価な長期評価用の作用履歴を推定した.それにより,現時点での変状を再現するとともに,複数のシナリオのもとでの塩害劣化に対する将来予測を実施した.さらに,耐荷力評価の一例として,材齢100年時に床版中央を静的に押抜く載荷解析を行い,塩害による材料劣化後の残存耐荷力評価を行った.
著者
土屋 智史 渡邊 忠朋 斉藤 成彦 牧 剛史 石田 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.13-29, 2022 (Released:2022-01-20)
参考文献数
26

プレテンションPC中空床版桁のウェブや下フランジ外面に,PC鋼材に沿って軸方向に進展するひび割れについて,材料と構造を連成したマルチスケール解析を適用する検討を行った.このようなひび割れは,一般に内部鋼材の発錆やアルカリシリカ反応,かぶり不足等により生じるとされるが,本検討によって,標準的な材料を用いて入念な養生・施工と適切な管理が行われた構造諸元であったとしても,温度と湿度の季節変動を受けることで,供用後10年~数十年後にひび割れが顕在化し得る可能性があることを示した.また,ひび割れの発生要因について考察するとともに,感度解析を通して各要因の関連度合いについて確認した.さらに,ひび割れが耐荷力に及ぼす影響は小さいことを示し,解析結果に基づいて,今後の対策についての提案を行った.
著者
土屋 智史 古家 義信 金益 賢 岡村 甫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.662, pp.1-15, 2000-11-20
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

多方向入力の影響と材料強度のばらつきが耐震性能に及ぼす影響に着目して, 3次元非線形動的解析手法を用いて, 中層梁を有しないRC鉄道ラーメン高架橋の耐震性能の評価を行った. その際, 柱部材には Fiber モデルを適用し簡略化を行っている. その結果, 構造物の地震時挙動を推定するには多方向入力の影響を直接取り入れることのできる3次元解析が必要不可欠であることを明らかにし, 材料強度として特に鉄筋の降伏強度について注意する必要があることを再確認した. 本解析手法は, 現在の技術力を有効に活用したものであり, 工学的判断を付加することで, 地震被害分析を妥当に行うことができる.