著者
土屋 智史 渡邊 忠朋 斉藤 成彦 牧 剛史 石田 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.13-29, 2022 (Released:2022-01-20)
参考文献数
26

プレテンションPC中空床版桁のウェブや下フランジ外面に,PC鋼材に沿って軸方向に進展するひび割れについて,材料と構造を連成したマルチスケール解析を適用する検討を行った.このようなひび割れは,一般に内部鋼材の発錆やアルカリシリカ反応,かぶり不足等により生じるとされるが,本検討によって,標準的な材料を用いて入念な養生・施工と適切な管理が行われた構造諸元であったとしても,温度と湿度の季節変動を受けることで,供用後10年~数十年後にひび割れが顕在化し得る可能性があることを示した.また,ひび割れの発生要因について考察するとともに,感度解析を通して各要因の関連度合いについて確認した.さらに,ひび割れが耐荷力に及ぼす影響は小さいことを示し,解析結果に基づいて,今後の対策についての提案を行った.
著者
牧 剛史
出版者
佛教大学
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-34, 2014-03-01

「臨床心理士」は1988 年に資格化され、現在まで右肩上がりに資格取得者数は増加し続けている。対人援助の専門職を資格化する上で大きな課題となるのが、その養成プログラムであろう。「対人援助」の専門家である以上、実践を行なうことが必須になるが、「学生」というアイデンティティに留まっている者をいかに「実践家」に育て上げるのかは避けては通れない重要な問題である。本論文では、現在の臨床心理士養成プログラムについて呈示し、臨床心理士養成プログラムにおける「省察」や「実践知」の重要性を論じることを目的とした。臨床心理士資格を取得するためには、大学院を修了することが基礎要件となっている。現在は指定大学院が認定されており、臨床心理士の専門資質のレベルを一定水準に維持した養成プログラムとなっている。指定校の一つである佛教大学大学院臨床心理学専攻では、特に「臨床心理実習」を重視したカリキュラムを用意している。この実習には、学外機関での実習とグループスーパーヴィジョン、附属相談室での事例担当と個人スーパーヴィジョンおよびケースカンファレンスが含まれている。臨床心理士の養成においては、自分自身の実践について省察する「行為についての省察」だけではなく、臨床実践中に何を感じていたかという「行為の中の省察」が重要である。「臨床心理実習」を通して学ぶのは「実践のマニュアル」ではなく、「個別的・具体的な実践知」であると言えよう。
著者
前川 宏一 半井 健一郎 牧 剛史 千々和 伸浩 浅本 晋吾 石田 哲也 石原 孟 三島 徹也 石橋 忠良 田辺 成 坂田 昇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

①ナノ流体モデルを拡張展開し,雨水の急速侵入,降雨後の蒸発散を高精度で評価可能とした。PC暴露試験体の曲率等の推移と水分計測から検証を重ねた。②水分準平衡と構造モデルを連成させ,中高層RC建物と原子力施設の中長期固有振動数の変化を予測できた。③浅地中ダクトの遅れせん断破壊を数値解析で予見し非破壊検査から現象を確認した。地盤との相互作用から長期せん断破壊が評価可能であることを示した。④ASRゲル,腐食ゲル,常温液状水,氷晶の混合移動を考慮できる数値解析モデルを開発した。⑤ASRに伴う構造損傷と凍結融解に伴う損傷に相互作用が強く表れること,これが部材のRC床版疲労延命化に寄与する機構が解明された。
著者
前川 宏一 東畑 郁生 石田 哲也 内村 太郎 牧 剛史 半井 健一郎 龍岡 文夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

(1)土粒子間の連結空隙構造をセメント系複合材料の微細空隙構造モデルに導入し,物質平衡-移動-反応-変形解析に関する数値プラットフォームを開発し,拡張熱力学連成解析を土粒子間隙水の圧力と変形にまで連結させて,地震時の構造-地盤液状化解析と,構造中のコンクリートの過渡的な変性を追跡する多階層連結解析コードを完成させた。(2)コンクリートおよび地盤材料の水分保持能力の温度履歴依存性を実証し,過渡応答時の水分平衡モデルの精度を向上させた。大径空隙でブロックされる水分が高温時に急速に開放される状況が解明され,従来の定説を大きく変える契機を得た。セメント硬化体からのカルシウム溶出と自然地盤における吸着平衡モデルを,水和反応の過渡的状態に対して拡張した。(3)水和生成ゲルおよびキャピラリー細孔内の水分状態からセメント硬化体の巨視的な時間依存変形を予測するモデルを完成させ,分子動力学を適用し温度依存性に関するモデル化の高度化を図った。(4)鋼材腐食生成ゲルと周辺コンクリートのひび割れ進展,さらにゲルのひび割れへの浸入を考慮することにより,様々な条件下でのかぶり部コンクリートの寿命推定を可能にした。(5)飽和及び不飽和地盤中にRC群杭を設置した動的実験を実施し,初期振動状態から一気に液状化する厳しい非線形領域での杭と地盤の応答を詳細に分析した。土粒子構成則と多方向固定ひび割れモデルの結合で,地中埋設構造応答をほぼ正確に解析できることを示した。(7)非線形時間依存変形の進行モデルを弾塑性破壊型構成則の一般化で達成し,時間成分を取り除いた繰返し作用の影響度を、数値解析連動型実験から抽出することに成功した。ひび割れ面での応力伝達機構の疲労特性を気中・水中で実施し,高サイクル疲労に対応可能な一般化モデルを構築し,直接積分型高サイクル疲労破壊解析を実現した。