著者
土屋 智史 渡邊 忠朋 斉藤 成彦 牧 剛史 石田 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.13-29, 2022 (Released:2022-01-20)
参考文献数
26

プレテンションPC中空床版桁のウェブや下フランジ外面に,PC鋼材に沿って軸方向に進展するひび割れについて,材料と構造を連成したマルチスケール解析を適用する検討を行った.このようなひび割れは,一般に内部鋼材の発錆やアルカリシリカ反応,かぶり不足等により生じるとされるが,本検討によって,標準的な材料を用いて入念な養生・施工と適切な管理が行われた構造諸元であったとしても,温度と湿度の季節変動を受けることで,供用後10年~数十年後にひび割れが顕在化し得る可能性があることを示した.また,ひび割れの発生要因について考察するとともに,感度解析を通して各要因の関連度合いについて確認した.さらに,ひび割れが耐荷力に及ぼす影響は小さいことを示し,解析結果に基づいて,今後の対策についての提案を行った.
著者
中山 岳彦 斉藤 成彦 佐藤 賢之介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00258, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
12

RC部材の接合部は鉄筋が過密配置となり,その干渉から生産性を低下させる原因となっている.橋脚フーチングと杭基礎との部材接合部においては,フーチング下面鉄筋と杭基礎鉛直方向鉄筋の干渉がしばしば生じる.しかしながら,その破壊挙動は複雑であるため,詳細検討がなされず鉄筋干渉の改善がないのが現状である.そこで本論文では,杭基礎フーチングのせん断破壊挙動を明らかにするために,剛体バネモデルを用いて非線形数値解析を行った.実験試験体との比較により解析の妥当性を示したうえで,せん断破壊挙動の詳細な考察を行い,フーチング下面の鉄筋配置の影響について検討を行った.さらに杭が多列配置されるような実構造物スケールの杭基礎フーチングについて解析を行い,鉄筋干渉を避け生産性が改善できる配筋の可能性を示した.