著者
中村 治 嘉田 由紀子 古川 彰 鳥越 皓之 松田 素二 西城戸 誠 土屋 雄一郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

水害現象を水害文化として長期的で経験論的かつ価値論的な視野からとらえることによって、総体としての日常生活世界の中で、水害被災当事者の生活の視点から捉え直し、生活再建や地域社会の再生のプロセスを環境社会学的に明らかにした。また、文書や写真などの水害記録を発掘し、聞き書きにより経験者の記憶を生活史として再構成しながら、これを災害教育としていかに次世代につなぎ水害文化の継承を図るか、その社会学的手法の開発に取り組んだ。
著者
土屋 雄一郎
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.196-209, 1999-11-20

産業廃棄物処分場の建設は、地元土地関係者と事業主体との交渉によって決められてしまう。意思決定過程において地域住民はこの問題から排除されており、自らの意向を反映させるための制度的な回路を持ちあわせていない。産業廃棄物処分場建設をめぐる紛争において問われていることは、地域住民の代表性の問題であるといえる。社会環境アセスメントは、意思決定において疎外された地域住民の意向を反映するために実施され、処分場計画をめぐる従来の合意形成のあり方に変更を迫った。それは、住民の生活について検討する視点を採り入れることで、利害関係の枠組みを地元と県事業団との関係から、村政と県政との関係へと転換することであった。一方、住民は紛争に巻き込まれた地域社会のなかで、自らの立場を安定した状態に保つため、積極的な態度の表明を一時的に預ける社会的単位として社会環境アセスを受け入れていく。村は交渉における主導権をある一面において握り、村政にとっての必要性をみたす政策的配慮を獲得する。しかしそれは、社会環境アセスに預けられた住民の主体性が、次第に追い込まれていく変容過程であった。住民の主体性は失われ、「意思表示の空白」が発生することになる。このことは、地域住民のみならず村にとっても意図せざる結果であった。