著者
内村 直尚 森田 喜一郎 橋爪 祐二 土生川 光成 小鳥居 望 山本 克康
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

昼休みに15分間午睡をすることによってそれ以後の眠気が減少し、午後の授業だけでなく、帰宅後の学習にも集中できた。また、週3回以上実施した者は昼夜のメリハリのある規則正しい生活リズムが確立し、夜の睡眠も深くなった。午睡導入前の3年間と導入後の3年間の大学入試センターの試験成績を比較すると明らかに導入後の試験成績は上昇していた。保健室利用者および1人当たりの平均利用回数を午睡導入前後の3年間で比較すると導入後の3年間で減少していた。
著者
土生川 光成
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

比較的急性期で薬剤未投与のPTSD患者10名(PTSD群)に対して治療前後で主観的および客観的睡眠評価を行った。主観的睡眠評価は自記式の睡眠日誌と夢日誌にて、客観的睡眠評価は睡眠ポリグラフ検査(PSG)とアクチグラフ・モニタリングにて行った。PTSD群の治療前のPSG所見と、PTSD群と年齢・性別を一致させた健常者10名のPSG所見を統計学的(ANOVA)に比較した。PTSD群では健常者に比べ、中途覚醒時間が有意に増加し(35.9±19.7分 v.s 11.1±6.6分, P<0.01)、睡眠効率が有意に減少していた(85.5±2.5% v.s 94.9±2.1%, P<0.0001)。睡眠構築においてはPTSD群でStage 1睡眠が有意に増加し(11.6±5.7% v.s 6.8±2.8%, P<0.05)、Stage 3+4の深睡眠が有意に減少していた(7.9±7.4% v.s 18.1±7.9%)。また悪夢の訴えの多いPTSD患者ではREM睡眠の中断(REM interruption)が特徴的で、Percentage of REM interruptionsは健常者に比べPTSD群で有意に増加していた(9.8±8.6% v.s 2.2±1.8%)。さらにPTSD群ではCAPS(PTSD臨床診断面接尺度)の下位項目である悪夢の得点(頻度+強度)と中途覚醒時間およびPercentage of REM interruptionsが正の相関を示した(各々、R=0.77,P<0.01,R=0.63,P<0.05)。また夢日誌とアクチグラフ・モニタリングの組み合わせにより、PTSD患者2名で外傷体験に直接関連した悪夢の出現後に30-40分に及ぶ中途覚醒(睡眠維持困難)を認めた。これらの結果より、PTSD患者での外傷体験に直接関連した悪夢は、中途覚醒時間の増加やREM睡眠機構の異常(REM interruption)を引き起こす重要な因子であることが明らかとなった。内分泌学的検査は船舶事故後にPTSDを発症した3例で24時間ホルモン採血を施行したが、健常者に比べ、11:00から20:00の間のコルチゾールが低下せず高値を示した。これはPTSD患者では健常者に比べ、朝起床後から夕方までストレスが持続していることを示唆する所見であった。薬物療法の効果の検討では、パロキセチン投与により7例のうち4例で悪夢が消失し、3例で悪夢が軽減した。またベンゾジアゼピン系睡眠薬では十分な睡眠確保が得られず、熟眠感が欠如しているような場合、クロルプロマジン投与が有効であり、5例中4例で深睡眠が増加し、熟眠感の欠如も改善した。