著者
坂内 太
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ジェイムズ・ジョイスの初期の各短編から、『若き芸術家の肖像』『ユリシーズ』に至る諸作品を研究対象とし、この作家が膨大な人間群像の描写を通じて特殊な身体表象を展開したことを明らかにした。特に<変容の失敗>のモチーフが多様な文体的テクニックの変遷の根底に持続的に存在し続けたこと、また、同時代の他の詩人・劇作家達が取り組んだ浄罪と変身のモチーフを批判継承しながら、人間の身体的・精神的変身のモチーフを肯定的に飛躍させたことを明らかにした。