著者
岩田 淳
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.283-287, 2017 (Released:2017-10-14)
参考文献数
17

Although enormous efforts have been made to develop anti–amyloid therapy against mild to moderate Alzheimer's disease (AD) dementia, no single drug has succeeded in clinical trials. These failures could be attributed to 1) inaccurate clinical diagnosis, and 2) inappropriate timing for intervention. The clinical diagnosis used in previous trials are clinical criteria with low sensitivity and specificity. Thus new criteria that incorporated biomarker results has been established. In addition, various longitudinal studies revealed that Alzheimer's disease develops dementia long after it's pathological starting point where almost 15 years of asymptomatic stage precedes mild cognitive impairment (MCI) due to AD or prodromal AD. This asymptomatic stage is now called “Preclinical AD” and thought to be a promising intervention period for anti–amyloid therapy. We started an observational study in Japan which is funded by the Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) recruiting 500 individuals in total, that follows cognition, biomarker samples, and multimodal images for 3 years. Moreover, in the US, there are multiple drug intervention studies for preclinical AD subjects. Hopefully, these efforts could help developing AD prevention.
著者
渡邉 瑞貴 領田 優太 浅野 理沙 Khamb Bilon 薄田 晃佑 飯田 圭介 岩田 淳 佐藤 慎一 酒井 寿郎 長澤 和夫 上杉 志成
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 56 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.Oral15, 2014 (Released:2018-07-19)

1. 背景 現代人を悩ます生活習慣病の一つ、脂質異常症(高脂血症)は肥満など多くの疾病の起因となる。それら多数の疾病の予防・治療のためにも、脂質生合成機構の制御と解析は重要な課題である。 脂質生合成において、転写調節因子SREBP(Sterol regulatory element- binding protein)は中心的な役割を担う(図1)1。小胞体膜貫通型タンパク質として存在する前駆体SREBPは、キャリアータンパク質SCAP(SREBP cleavage-activating protein)と複合体を形成している。この複合体は、脂質レベルが低下すると小胞体からゴルジ体に輸送される。ゴルジ体において前駆体SREBPは酵素による二度の切断を受けて活性型となる。活性型SREBPは核に移行し、転写因子として脂質生合成に関する遺伝子群の発現を亢進する。ステロールや脂肪酸などの脂質類が産生される。 SREBPの活性化は内因性物質であるステロールによって厳密に制御されている。ステロール過多になると、ステロールはSCAPに直接作用し、SREBP/SCAP複合体の小胞体からゴルジ体への輸送を阻害する。脂質生合成は種々の複雑な制御を受けることが知られており、ステロール以外の内因性物質による直接的なSREBP活性化調節機構の存在が予想される。しかし、その詳細は未だ不明な点が残る。 私たちの研究室が化合物ライブラリーから見出した合成小分子ファトスタチン(1, 図2)は、ヒト細胞内でSREBPの活性化を選択的に阻害して脂質生合成を抑制する2,3。ファトスタチンは、SREBP活性化を阻害する初めての非ステロール合成化合物となった。さらに私たちの研究室は、ファトスタチンを誘導体展開し、ファトスタチンよりも10倍阻害活性に優れ、経口投与可能なFGH10019(2)も報告した4。一連のケミカルバイオロジー研究によって、ファトスタチンはステロールと同じSCAPを直接の生体内標的とするが、ステロールとは異なる部位に作用することを示した。この結果は、ファトスタチン様に作用する、ステロール以外の内因性物質の存在の可能性を示唆する。2. 新たなSREBP制御天然化合物の発見 以上をふまえ私たちは、SREBP活性化に関わる新規内因性物質の探索を目的に、280種の脂質化合物を新たにスクリーニングした。その結果、細胞内でSREBPの活性化を阻害する複数の内因性脂質化合物が見出された。これら見出された化合物類は、濃度依存的にSREBPの活性化を阻害することがわかった。さらに、ある一連の内因性天然脂質化合物類は、ステロールと同様にSREBPの小胞体からゴルジ体への輸送段階で活性化を阻害するが、その作用メカニズムはステロールと異なることが示唆された(図3)。CHO-K1細胞をステロールで処理すると活性型SREBPが消失し、前駆体SREBPが蓄積する。一方、内因性天然脂質化合物Aで処理すると、活性型および前駆体両方のSREBPが減少した。これら新たに見出した内因性脂質化合物類とSREBPとの直接的な関係について、現在のところ報告はない。これら脂質化合物はSREBP活性化を制御する新たな内因性物質の可能性がある。3. SREBP制御天然化合物の作用メカニズムの解明研究 スクリーニング(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
岩田 淳 下西 英之 小林 正好
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.9, pp.626-637, 2017-09-01

本論文では,ネットワーク業界に20年に1度と言われる革新をもたらしたSDN,NFVにおける研究開発・実証・商用化と本領域の将来の発展の方向性について述べる.現在のインターネットは自律分散制御方式を採用し,個々のネットワーク装置に機能が埋め込まれているため,機能追加・変更が困難な上,装置の機能肥大化を招いている.またデータセンタ等の仮想化が進む環境では,頻繁に生じるサーバやストレージの構成変更に迅速に追随するネットワーク構築・運用が求められるが,自律分散制御に起因する遅延や振る舞いの予測困難性により,迅速,確実なネットワーク変更ができないという課題がある.本課題に対し,筆者らは論理集中型のプログラマブルな制御方式によるネットワークの設計・構築・運用(SDN)と最小限の標準的枠組み(OpenFlow)とによる解決策を提唱し,更にネットワーク装置の仮想化(NFV)と組み合わせ,ネットワークサービスでの高機能化と柔軟性の実証・実用化に成功した.更に,IoTなど実世界のデータをセンシング・解析・最適化する際の広域分散データ解析プラットホームへの本技術の適用へ向け,将来を展望する.
著者
岩田 淳 香川 景一郎 川人 祥二 緒方 智壽子 谷田 純
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.39, no.17, pp.21-22, 2015-05-01

歯周病は日本人の8割が罹患していると言われている.現在,歯周病の診察は定性的であることが多く,時間を要するだけでなく医者の技量に依存する.短時間に多人数を診る集団検診においても簡易に適用でき,定量性をもった診察を可能とする技術が必要とされている.そこで我々は歯肉の三次元形状,酸素飽和度,全ヘモグロビンなどの定量性のある情報の取得と歯槽粘膜境の画像化を目標とし,デジタルデンタルミラーと呼ぶ多機能小型カメラを開発している.本研究では基礎研究として,コルクボードの三次元形状をマルチベースラインステレオを用いて計測した.
著者
小出 百合 林 俊宏 岩田 淳
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.525-531, 2013 (Released:2013-07-25)
参考文献数
27

わが国では65歳以上の認知症有病率が14%程度と推定されており, 高齢化に伴って今後も増え続けるといわれる. 近年の画像診断技術の発展は目覚ましく, アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の診断に大きく貢献している. 構造画像では, 以前は非変性性認知症の除外診断が主目的であったが, 最近では, アルツハイマー病での海馬や嗅内野の萎縮など, 積極的に認知症を鑑別するようになってきている. また機能画像においては脳血流SPECT, FDG-PETで各種疾患による特徴的な血流・代謝低下を捉えることにより認知症の鑑別に役立っている. その他アミロイドβタンパクの脳内沈着を画像化するアミロイドイメージングをはじめとし, 生体病理診断のための新技術も発展している. 今回は, 早期診断や治療薬の開発などにますます重要となってきている, 認知症の画像診断について概説する.
著者
岩田 淳 下西 英之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.274, pp.21-26, 2009-11-05

本講演では、新世代ネットワークの基盤技術として注目を集めているOpenFlow Switching技術の技術概要と本技術領域におけるNECの研究開発の取り組みについて紹介する。現在、北米NSFのGENI Programでは、新世代向けのネットワーク仮想化、プログラマビリティ、モビリティ制御実現へ向けたインフラとしてOpenFlow技術を活用した複数大学間でのトライアルが開始されつつある。またNECのStanford大学との1年のトライアルを通し、本技術の可能性について徐々に期待度が高まっている。本講演では、NECのOpenFlow Switching技術の研究開発の取り組みとして、新世代ネットワークアーキテクチャ、スイッチ技術、コントローラ技術の研究開発、ならびに試作開発状況、ならびに北米トライアル状況について紹介する。また、本技術をベースとしたネットワークの将来技術への展望について述べる。