著者
坂本 一寛
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.174-179, 2013-12-05 (Released:2014-02-07)
参考文献数
24

脳·神経系は極めて複雑であり,取り組むべき問題は無尽蔵にある.しかしながら,それ故に,何を研究すべきか,焦点を絞りにくい面もある.本稿では,脳·神経系の本質に迫るために検討するに値すると思われる諸問題を,
著者
坂本 一寛
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.136-148, 2014-09-05 (Released:2014-10-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

脳の神経細胞は多くの入力を受け,多くの出力を出す.つまり,脳の神経配線は,拡散·収束構造を持つ.脳には,神経配線が全くのランダム構造であれば出現しないような解剖学的構造や神経細胞応答が見られる.ここでは,神経配線の拡散·収束構造を,画像処理で広く使われるハフ変換に代表されるパラメータ空間への投票と仮定したとき,どのような処理が可能なのか,どのように生理実験結果を説明するのか,について,大脳皮質視覚関連領野のモデルを通じて例示する.また,パラメータ空間への投票とアブダクション(仮設生成)とのアナロジーについて私見を述べる.
著者
石黒 章夫 青沼 仁志 松坂 義哉 加納 剛史 坂本 一寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現在のロボットは,設計時に想定した稼働環境や使用目的に極度に最適化されているため,その振る舞いは著しく単調かつ画一的であり,またそれゆえに環境や身体の変化に対して脆弱である.一方で生物は,身体が持つ膨大な自由度の間に時空間的秩序を生み出すことで,適応的かつ多様な振る舞いを自己組織的に創り出している.本研究では,特異な対称性を持ち,自切する動物であるクモヒトデに着目し,状況依存的に多様かつレジリアントな振る舞いを発現する機序の解明を目的とした.その結果,比較的シンプルな自律分散制御則によって優れた適応性と耐故障性を有する振る舞いを再現できることを実験的に明らかにした.