著者
坂本 彬 井上 博之 中川 致之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.326-330, 2012-07-15 (Released:2012-09-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

(1) 日本国内で市販されている世界各地で生産された紅茶12銘柄を購入し,その化学成分などを分析,測定した.12銘柄はスリランカ4,インド3,中国2,日本1である.(2) タンニン,カテキン類8項目,没食子酸,テアフラビン類4項目,L-グルタミン酸,L-テアニン,γ-アミノ酪酸,遊離糖類3項目の含有量は変動が極めて大きかった.グルタミン酸,テアニン,また総アミノ酸については並級煎茶に匹敵する量を含む銘柄もあった.またγ-アミノ酪酸を60mg%以上含む銘柄もあったが発酵過程で増加したものであるかは判別できなかった.(3) 4種のテアフラビンを個別に定量した結果,テアフラビン-3,3’-di-0-ガレートが最も多く,ついでテアフラビン-3-0-ガレート,次ぎに遊離のテアフラビンでテアフラビン-3’-0-ガレートが最も少なかった.また,テアフラビン合計値と赤色彩度を示す表色値aの間に相関が認められた.(4) 遊離の糖類のうち,蔗糖,ブドウ糖,果糖,麦芽糖を分析したが麦芽糖は含まれず,検出された3種のうち蔗糖,ブドウ糖が多く,糖類合計として平均1.6%であった.(5) 紅茶に含まれる有機酸のうち,シュウ酸を分析した.12銘柄平均含有量は0.54%であったが,シュウ酸特有のエグ味として影響する量ではないように思われた.(6) pHは緑茶同様にほぼ一定範囲に収まり,ほぼ5.00~5.4の範囲であった.
著者
坂本 彬 中川 致之 杉山 弘成 堀江 秀樹
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.94, pp.45-55, 2002-12-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

1. 煎茶の標準的な入れ方に近い湯温50℃,60℃,70℃,90℃(遊離アミノ酸類は90℃を除く),浸出時間は1煎目が60秒,2煎目,3煎目が10秒間の条件で,主要カテキン類4種,カフェイン,主要遊離アミノ酸類6種がどのように溶出するかを調べた。(1)カテキン類,カフェインは,ともに温度の上昇に伴って溶出量が増加した。カテキン類のうちで遊離型カテキン類は比較的溶出しやすく,エステル型カテキン類は溶出が遅かった。90℃3煎目で前者が90%以上溶出されたのに対し,後者は50%台であった。カフェインは遊離型カテキン類に近い溶出性を示した。(2)アミノ酸類はきわめて溶出されやすく,50~70℃の1煎目で半分近く溶出し,3煎目には,ほとんど100%溶出した。ただし, アルギニンは他のアミノ酸より溶出が遅い傾向にあった。2. 温度を変える入れ方,すなわち1煎目を5℃,10分,2煎目を50℃,1分,3煎目を95℃1分の条件で主要カテキン類4種,カフェイン,主要遊離アミノ酸類6種,ペクチン,カリウム,マグネシウム,カルシウム,リン酸がどのように溶出するかを調べた。(1)遊離型カテキン類は冷水でも比較的溶出しやすく,3煎目までで80~90%が溶出した。一方,エステル型カテキン類は低温では溶出されにくく,熱湯を用いた3煎目で急激に溶出したが,それでも50%程度であった。カフェインは低温でも1煎目で36%程度溶出し,熱湯を用いた3煎目までで84%に達した。(2)アミノ酸類は冷水でもよく溶出したが,アルギニンは他のアミノ酸類より溶出が遅かった。1煎目に冷水を使用する条件でも,アルギニンを除いて2煎目で70~80%が溶出した。(3)ペクチンは溶出しやすく,いずれの形態のものも煎を重ねるに従って段階的に溶出が減少した。(4)カリウムは溶出されやすく,3煎でほとんどが溶出した。マグネシウム,リン酸は煎を重ねるに従って溶出が減少した。ただし,カルシウムは1煎から3煎まで同程度の溶出量であり,溶出割合も3煎までで4%に満たなかった。(5)1煎液の濃厚な甘味,旨味にはアミノ酸類の濃度が高く,ペクチンを多く含むことが,また3煎液の強い苦味にはエステル型カテキン類の濃度の高いことが寄与していると推察される。
著者
坂本 彬 井上 博之 中川 致之
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.326-330, 2012 (Released:2013-10-08)

(1)日本国内で市販されている世界各地で生産された紅茶12銘柄を購入し,その化学成分などを分析,測定した。12銘柄はスリランカ4,インド3,中国2,日本1である。(2)タンニン,カテキン類8項目,没食子酸,テアフラビン類4項目,L-グルタミン酸,L-テアニン,γ-アミノ酪酸,遊離糖類3項目の含有量は変動が極めて大きかった。グルタミン酸,テアニン,また総アミノ酸については並級煎茶に匹敵する量を含む銘柄もあった。またγ-アミノ酪酸を60mg%以上含む銘柄もあったが発酵過程で増加したものであるかは判別できなかった。(3)4種のテアフラビンを個別に定量した結果,テアフラビン-3,3'-di-0-ガレートが最も多く,ついでテアフラビン-3-0-ガレート,次ぎに遊離のテアフラビンでテアフラビン-3'-0-ガレートが最も少なかった。また,テアフラビン合計値と赤色彩度を示す表色値aの間に相関が認められた。(4)遊離の糖類のうち,蔗糖,ブドウ糖,果糖,麦芽糖を分析したが麦芽糖は含まれず,検出された3種のうち蔗糖,ブドウ糖が多く,糖類合計として平均1.6%であった。(5)紅茶に含まれる有機酸のうち,シュウ酸を分析した。12銘柄平均含有量は0.54%であったが,シュウ酸特有のエグ味として影響する量ではないように思われた。(6)pHは緑茶同様にほぼ一定範囲に収まり,ほぼ5.00~5.4の範囲であった。
著者
坂本 彬 井上 博之 中川 致之
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.326-330, 2012-07-15
被引用文献数
4

(1) 日本国内で市販されている世界各地で生産された紅茶12銘柄を購入し,その化学成分などを分析,測定した.12銘柄はスリランカ4,インド3,中国2,日本1である.<BR>(2) タンニン,カテキン類8項目,没食子酸,テアフラビン類4項目,L-グルタミン酸,L-テアニン,<I>γ</I>-アミノ酪酸,遊離糖類3項目の含有量は変動が極めて大きかった.グルタミン酸,テアニン,また総アミノ酸については並級煎茶に匹敵する量を含む銘柄もあった.また<I>γ</I>-アミノ酪酸を60mg%以上含む銘柄もあったが発酵過程で増加したものであるかは判別できなかった.<BR>(3) 4種のテアフラビンを個別に定量した結果,テアフラビン-3,3'-di-0-ガレートが最も多く,ついでテアフラビン-3-0-ガレート,次ぎに遊離のテアフラビンでテアフラビン-3'-0-ガレートが最も少なかった.また,テアフラビン合計値と赤色彩度を示す表色値aの間に相関が認められた.<BR>(4) 遊離の糖類のうち,蔗糖,ブドウ糖,果糖,麦芽糖を分析したが麦芽糖は含まれず,検出された3種のうち蔗糖,ブドウ糖が多く,糖類合計として平均1.6%であった.<BR>(5) 紅茶に含まれる有機酸のうち,シュウ酸を分析した.12銘柄平均含有量は0.54%であったが,シュウ酸特有のエグ味として影響する量ではないように思われた.<BR>(6) pHは緑茶同様にほぼ一定範囲に収まり,ほぼ5.00~5.4の範囲であった.