著者
坂本 悠 山本 泰生 岩沼 宏治
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.23, pp.1-6, 2012-06-21

近年,遺伝子制御系,シグナル伝達系や代謝系などの生体機構をひとつのシステムとして再構築する研究が進められている.実験機器のハイスループット化に伴い,生体システムに関与する観測データは急速に増加しており,システムと観測データ間の整合性を組織的に検証する技術が必要となってきている.本論文では,遺伝子制御系のようなネットワーク形式で表現される生体システムを多値論理の枠組みでモデル検査する手法を提案する.また酵母のグルコース抑制機構に関する生体ネットワークに対して本手法を適用した結果を報告する.Recently, a systematic approach has been evolved in biology to reconstruct biological mechanisms involved in genome, proteome and metabolome into one whole system. Along with high-throughput experimental tools like microarrays, it is required to analyze the consistency between a large amount of data and those reconstructed systems. In this paper, we propose a qualitative way with multiple-valued logic that enables to systematically evaluate those systems that are represented as networks, like gene regulatory networks. This paper also reports preliminary experimental results obtained by applying our technique to a biological network on the glucose repression system of S. cerevisiae.
著者
山本 俊策 二之宮 謙一 合志 光平 牟田口 滋 佐々木 大 坂本 悠磨 蛯原 宗大
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.447-448, 2021-09-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
5

【緒言】手指粘液嚢腫に対する手術治療は嚢腫を切除し,皮膚欠損部に皮弁形成術を行うのが一般的である.近年,嚢腫の原因となる関節包と骨棘を切除する手術治療が報告されており当院もこの方法を実施しているので報告する.【対象】2012年4月から2018年11月までに手術治療を行った25例で,男性2例,女性23例,平均年齢73歳(51-84歳)平均経過観察期間18ヶ月(12-84ヶ月)罹患指は母指4指,示指8指,中指8指,環指4指,小指1指であった.【結果】再発は認めなかった.【まとめ】嚢腫の切除は行わず,関節包および骨棘切除を行い良好な結果が得られ有用な方法と考えている.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。