著者
中西 康大 田村 優志 高橋 美穂 唐木田 一成 坂本 春生
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.197-208, 2020 (Released:2020-10-26)
参考文献数
132

口腔内をはじめ,生体内には多くの細菌が存在しており,細菌同士同菌種・異菌種問わず,細菌間コミュニケーションをしている.近年細菌は,生体に様々な影響を与えていることが研究されてきている.胃がんのピロリ菌に代表されるように,細菌が全身の「がん」に関与することが研究されるようになってきた.口腔がんにおいても,細菌の関与について研究されてきている.細菌が「がん」に関与する際は,大きく分けて三つの関与方法があると考えられている.一つ目は,「慢性炎症による刺激」である.慢性炎症による持続的な炎症性メディエーターなどの放出は,細胞増殖や変異誘発,がん遺伝子の活性化などを引き起こす.細胞の増殖に影響するということは,がん細胞の増殖にも影響することを意味する.二つ目は,「アポトーシスの阻害」である.アポトーシスの阻害により,細胞の長期生存が可能になる.三つ目は細菌が「発がん性」物質の産生することによる,直接的ながん化への関与になる.このレビューでは,Fusobacterium nucleatum,Prophyromonas gingivalis,および,そのほかの微生物Candida,virusesが口腔がんにどう影響するかについて概説する.
著者
坂本 春生 唐木田 一成 関谷 亮 大野 啓介 増子 弘美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2735-2740, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
4

口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症を予防する効果があることが報告されている.口腔ケアは多くの施設で取り入れられているが,その実際は施設により異なり,効果判定も困難なことが多い.口腔内にはおよそ600種の微生物が存在し,常在菌叢を形成している.これらは容易に歯垢によるバイオフィルム形成をもたらし,その除去には物理的なブラッシングに頼る部分が大きい.本稿では,口腔ケアと関連する細菌学的事項,病棟における口腔ケアの実際,各種職種の役割分担,ケアにおける考え方などにつき,当院での経験を述べた.
著者
尾崎 昌大 森 広史 古川 恵太郎 坂本 春生
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.285-289, 2018-11-25 (Released:2019-05-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

2015年7月,当院の血液腫瘍内科で入院していた患者から多剤耐性緑膿菌が検出された.その後,環境付着菌検査を行った温水洗浄便座の洗浄ノズルからMDRPを検出し,アウトブレイクであると判断し,感染対策を行った.アウトブレイクの一因として,清掃スタッフによる院内感染対策上不適切な清掃方法が行われていたことが挙げられた.その他にも製造時期が古い温水洗浄便座の洗浄ノズルにおいて,適切な清掃ができないなどといった温水洗浄便座を院内で使用する際に留意すべき問題点も判明した.このことから,院内で使用している設備・機器の洗浄方法や導入などにICTの積極的な介入が必要であることが改めて認識された.
著者
坂本 春生
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.694-702, 2018-12-20 (Released:2019-02-22)
参考文献数
2

Guideline to prevent surgical site infection was published from Japanese society of surgical site infection and Japanese society of antibiotics chemotherapy in 2016. In the guideline, antibiotics prophylactic regimen has described in the all field of surgeries including oral surgery and dentistry. In 2018, Japanese society of cardiology published revised version of ‘Prevention and treatment of infective endocarditis (IE)’. In the guideline, antibiotics prophylaxis of IE in dentistry has described extensively. Since proper use of antibiotics for prevention of antimicrobial resistant bacteria production in oral surgeries has not been discussed sufficiently, we oral surgeons should understand the importance of proper antibiotics prophylaxis in oral surgery in accordance with these new guidelines.
著者
鈴木 大貴 濱田 裕嗣 高橋 美穂 唐木田 一成 坂本 春生
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.88-91, 2018-02-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
10

Sweet’s Syndrome is a disease characterized by multiple nodules or edematous erythema elevatum of the face, neck, and skin, accompanied by acute fever and peripheral leukocytosis. This disease is considered one of the paraneoplastic syndromes of blood tumors. A 50-year-old Japanese man was referred to our department because of oral mucosa hyperplasia. The patient who had the various condition and we performed various examination, but needed long time for definitive diagnosis. In this article, we report a case of oral mucosa hyperplasia caused by Sweet’s Syndrome that was difficult to diagnose.